MISC

2019年5月

母親への巻き込みを伴う強迫性障害の男児に箱庭療法を試みた一例

日本サイコセラピー学会雑誌
  • 岸本 直子
  • ,
  • 安田 真織
  • ,
  • 太田 豊作
  • ,
  • 中西 葉子
  • ,
  • 飯田 順三
  • ,
  • 岸本 年史

19
1
開始ページ
67
終了ページ
74
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本サイコセラピー学会

箱庭療法の創始者であるカルフは、箱庭療法では「母子一体性」という治療関係が成立すると、患者の自己治癒力が働き始め、「保護された空間における象徴体験」を通して治療が進んでいくと述べている。今回、幼少期より母子分離不安が強く、チック症状を認め、小学4年以降、母親を巻き込む強迫症状が出現した12歳男児に箱庭療法を試みた。小学6年頃より、強迫症状が増悪したため、X-1年11月23日A大学病院にて入院加療となった。行動制限を伴う入院環境のストレスから治療は難渋していた。強迫症状の背景には母子の関係性が影響していると考えられ、箱庭療法の導入は治療の一翼を担う可能性があるため、X年2月1日より週1回の頻度で箱庭療法を導入した。箱庭療法の経過を通して、治療者との自由で保護された空間が確保され、治療者に見守られながら箱庭を創るという体験は、本児に安心感を与え、強迫症状の改善に寄与したものと考える。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1347-071X
  • 医中誌Web ID : 2019298923

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