講演・口頭発表等

国際会議
2014年4月

大気・海洋拡散モデルを用いた福島第一原発事故による放射性物質の大気放出量の推定

European Geosciences Union General Assembly 2014
  • 堅田 元喜
  • ,
  • 茅野 政道
  • ,
  • 寺田 宏明
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  • 小林 卓也
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  • 太田 雅和
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  • 永井 晴康
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  • 梶野 瑞王

記述言語
英語
会議種別

緊急時大気拡散予測システムWSPEEDI-IIの放射性物質の沈着スキームを改良し、環境モニタリングデータと大気・海洋拡散結合シミュレーションによって、2011年3月中の放射性物質の放出量を詳細に再推定した。乾性・湿性沈着スキームの精緻化、霧沈着の導入、粒子状・ガス状ヨウ素の区別等の改良を施したWSPEEDI-IIとSEA-GEARNを用いて、単位放出率(1Bq h$^{-1}$)の大気放出を仮定した放射性核種の拡散計算を実施し、陸上の空間線量率、大気中・表層海水中濃度の測定値と計算値を比較することにより大気への放出量を逆推定した。本推定結果から、2011年3月12日午後の1号機ベント時、13日午前の3号機ベント後のD/W圧力低下時、14日午後の3号機水素爆発時、16日午前の3号機D/W圧力低下時の大量放出があった可能性が新たに示された。14日夜間の2号機からの放出は、SR弁開操作後の圧力低下に伴い散発的に起こったとして推定した。15日午後の放出量は減少し、3号機ベントと2・3号機の圧力低下に対応する15日夕方から深夜の放出量が大きく増加した。この推定放出量を用いた大気拡散計算によって、航空機サーベイによる放射性ヨウ素・セシウム沈着量分布が良好に再現された。