基本情報

所属
南山大学 総合政策学部 准教授
総合地球環境学研究所 客員准教授

連絡先
otakazunanzan-u.ac.jp
研究者番号
50782299
J-GLOBAL ID
201701020783936277
researchmap会員ID
B000281653

◆研究の方向性について

 「大加速」(great acceleration)は、いくつかの指標において減速しつつあります。この減速は社会の持続可能性・再生可能性を向上させるための移行にとって何を意味するのでしょうか?

 「大加速」とは、1950年代から見られるGDP、人口、都市化、交通量、森林破壊、汚染などの急激な増加をさす用語です。人類が地球の生態系に及ぼす影響を浮き彫りにする概念として、20年ほど前に提唱されました。多くの指標では、2000年代に入ってもこれらの指標は成長を続けていますが、一部では鈍化が報告されています。減速は人々と生態系にとって利益をもたらしうる反面、混乱と摩擦をもたらすことが懸念されます。

 気候変動、資源の枯渇、社会的不平等、政治の不安定性など、人類が直面する複雑で広範な問題は、それぞれがおたがいに影響を及ぼし合う「厄介な問題」です。これらの問題に分野横断的に対処し続けるための方法を、【食と農】【倫理学】【ゲーム】を起点として模索しています。

 

◆具体的な研究活動について

 大きく3つの研究領域で活動をしています。

  1. 食農倫理学:フードシステムをより再生可能なものにするために不可欠な、さまざまな関係者や組織の連携と協力、相互学習のための場作りを、食農倫理学の観点から提案しています。
    ポール・B・トンプソンの『〈土〉という精神』(農林統計出版, 2017)、『食農倫理学の長い旅』(勁草書房, 2021)を邦訳しました。また、アジア太平洋圏食農倫理会議の第4回大会(オンライン, 2020)と第5回大会(名古屋, 2023)を主催しました。
    学術誌『Food Ethics』の編集をしています。
  2. 環境倫理学:80億人を越える世界人口の半数以上が都市圏に住み、「大加速」が鈍化しつつある時代の環境倫理学の貢献のあり方を探求しています。
    ヨルゴス・カリスの『LIMITS』(大月書店, 2022)を共訳しました。
    学術誌『環境倫理』の編集をしています。
  3. シリアスゲーム:社会課題や環境問題をテーマにしたゲームを使った非公式の学習やワークショップを実践・研究しています。ゲーム制作イベント「シリアスボードゲームジャム」をこれまで4回開催しました:
    • SBGJ2018「良い食とは?」@地球研
    • SBGJ2019「独りで食べている人なんていない」@地球研
    • SBGJ2021「食べることのジレンマ」@オンライン
    • SBGJ2022「食卓からは見えない風景」@くまもと森都心プラザ図書館

 

◆担当している講義について

 南山大学総合政策学部では以下の講義を主に担当しています。

  • 文明論概論」:人新世における文明のあり方を考える素地となる、文明史と、文明論の歴史を概説します[1年生]
  • 総合政策と倫理」:「厄介な問題」に取り組むときの倫理学の使い方を、政策学の基礎知識と一緒に概説します[2年生]
  • 環境思想論」:環境正義の主な観点(分配的正義など)と、扱われるトピック(汚染、気候変動など)を学びます[2-4年生]

 

◆ゼミについて

 「大加速期に形作られた今日の社会システムの特徴の一端を明らかにし、今日の社会をより持続可能で再生可能なものにするための移行(transition)を促す」ことに関わる卒業研究のテーマを幅広く受入れています。社会実践理論、食品廃棄物の再利用、フードバンク、シリアスボードゲーム、などさまざまです。

2023年度 卒業論文集

 

 

◆その他

研究活動の関連記事として、下記をどうぞ。


論文

  28

MISC

  8

書籍等出版物

  12

講演・口頭発表等

  86

所属学協会

  11

Works(作品等)

  3

共同研究・競争的資金等の研究課題

  16

学術貢献活動

  5

社会貢献活動

  13

メディア報道

  3