2015年
内分泌攪乱化学物質ノニルフェノールと結合する新たなタンパク質の同定
日本栄養・食糧学会誌
- ,
- ,
- ,
- ,
- 巻
- 68
- 号
- 2
- 開始ページ
- 63
- 終了ページ
- 68
- DOI
- 10.4327/jsnfs.68.63
- 出版者・発行元
- Japan Society of Nutrition and Food Science
合成洗剤の好気性・嫌気性微生物分解や, 合成樹脂等に使用される酸化防止剤の酸化・加水分解などにより生成されるノニルフェノールは, 内分泌攪乱化学物質の一つである。このため, 食品へのノニルフェノール混入によるヒト内分泌系に対する攪乱作用の検証とその分子機構の解明が重要である。これまでにノニルフェノールは, 男性生殖器系 (精巣・前立腺) を主な標的とし, 雄の親マウスへの投与により, F1およびF2の雄マウスでの精巣・前立腺の縮退や精子分化不全が報告されている。本研究では, 前立腺でのAndrogen受容体 (AR) による転写活性化にも必要なヒストンアセチル化酵素AIB1のホルモン受容体結合領域に対して, ノニルフェノール存在下で結合するタンパク質をヒト正常前立腺cDNAライブラリーから探索して, ヒトタンパク質NPR1 (Nonylphenol Receptor 1) を単離した。in vitroでの分子間相互作用解析の結果, NPR1はノニルフェノールを高い特異性で結合した。従って, エストロゲン受容体を介した機構に加え, NPR1を介した新たな内分泌攪乱機構の存在が示唆された。
- リンク情報
- ID情報
-
- DOI : 10.4327/jsnfs.68.63
- ISSN : 0287-3516
- CiNii Articles ID : 130005064901
- identifiers.cinii_nr_id : 9000287291222