共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

新規Rasファミリーが活性化する核内シグナル複合体と細胞がん化機構の解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K07343
体系的課題番号
JP17K07343
配分額
(総額)
4,940,000円
(直接経費)
3,800,000円
(間接経費)
1,140,000円

これまで、低分子量Gタンパク質Rasが誘導する細胞増殖シグナル、発がんシグナルにおいて、NKiRasが関与することを見出し、その分子機構について解析を行って来た。特に相互作用分子としてTRB3、DDB1、NONO、SFPQが同定された。このうち、特にTRB3は新規のがん抑制遺伝子産物として機能し、一方でDDB1は形質転換に対して促進的に機能することも明らかになっている。2018年度は、がん化型Ras変異体が誘導する各種シグナル伝達系に着目し、NKiRasの関与について検討した。NKiRasのノックダウンはRas (G12V)による細胞形質転換を抑制するが、ERKおよびJNKなどのシグナルには影響を及ぼさなかった。mTORC1の活性化はNKiRasのノックダウンにより抑制されたが、その分子機構は現在まで明らかになっていない。一方で、NKiRasに依存したRasシグナル標的遺伝子として、細胞の1次繊毛や中心体に局在し、細胞増殖などに深く関与するCEP290、尿素輸送体Slc14A1が見出されている。リポーター遺伝子などを用いた解析を計画しているが、現在まで新規の知見は得られていない。一方で、古典的Rasのシグナル伝達系についても並行して解析を進めた。その結果、新規のがん化型変異体A146TがERK、Aktに依存しない新規の発がんシグナルを活性化している可能性が見出された。またRas (G12V)変異体はNF-kappaBの活性を増強する新しいメカニズムを見出した。大腸がんの病変部にてp65/RelAサブユニットのSer276のリン酸化が亢進して居ることを見出した。このSer276のリン酸化はRasにより活性化されたp38-MSK1/2経路によるものであることが明らかになった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K07343
ID情報
  • 課題番号 : 17K07343
  • 体系的課題番号 : JP17K07343