2016年4月 - 2020年3月
有機半導体の占有・非占有ギャップ準位の直接計測と電気物性の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
有機半導体のHOMO-LUMOギャップ内に存在するギャップ準位は、種々の有機エレクトロニクス素子の特性の鍵を握る重要な因子であるが、直接観測することができず、なんらかの素子動作モデルを仮定して電気特性から推測するしかできなかった。最近、我々は、元来サブ%レベルの感度しかない光電子分光・光電子収量分光装置を高感度化して、ギャップ内占有準位の直接検出に成功した。本研究では、電気物性を議論するに必要なサブppmレベルの超感度化を実現するとともに、可視吸収分光などと組み合わせることでギャップ内空準位もあわせて検出できる測定手法の開発をすすめた。平成30年度は,前年度から引き続き,吸収分光と高感度光電子分光の結果から空ギャプ準位を求める手法の開発を引き続き進めた。デコンボリューションプログラムについては,一部負の状態密度がでてくるものの,計算プログラムとしては概ね出来上がってきた。比較検討するためのデータの取得が鍵となっており,in-situでの光電流測定では光源の強度が不足することが明らかになったので方針を変更して,ex-situでの高感度吸収分光測定を行うこととし,Cambridge大学のStranks教授のグループと連携してPhotothermal Defletion Spectroscopy測定の準備を進めた。また,空準位を見る別手法として,オペランド光電子収量分光,負イオンの高感度光電子分光測定もすすめ,HATCNを始めとする有機薄膜に補足された電子の観測も行った。とくに,Operando光電子収量分光については,前年度は単に”新しいピーク”が観測されたというレベルであったが,逆光電子分光の結果との差を理論的に説明することにも成功した。また,光子のエネルギーを変えたながら測定する高感度光電子分光で得られたスペクトルから状態密度に換算する際の規格化法についても”包絡線法”などの有効な手法を見出した。
- ID情報
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- 課題番号 : 16H04222
- 体系的課題番号 : JP16H04222
この研究課題の成果一覧
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講演・口頭発表等
9-
第10回CSJ化学フェスタ2020 2020年10月20日
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第81回応用物理学会秋季学術講演会 2020年9月11日
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第67回応用物理学会春季学術講演会 2020年3月14日
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第67回応用物理学会春季学術講演会 2020年3月13日
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Collaborative Conference on Materials Research (CCMR)
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KJF International Conference on Organic Materials for Electronics and Photonics 2018年9月5日
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The 9th International Conference On Technological Advances of Thin Films and Surface Coatings 2018年7月20日
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10th International Symposium on Organic Molecular Electronics (ISOME 2018) 2018年6月1日
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The second symposium of Chiral Molecular Science and Technology in Chiba University ‘-Advanced Materials Science, Biology & Nanophotonics in Chiba-’ 2018年1月12日