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2021年5月

環境試料中ヨウ素-129のICP-MS分析に向けた固相抽出法の開発; 陰イオン交換樹脂および銀イオン担持樹脂の干渉元素除去特性の比較

JAEA-Research 2021-002
  • 青木 譲
  • ,
  • 松枝 誠
  • ,
  • 小荒井 一真
  • ,
  • 寺島 元基
  • ,
  • 藤原 健壮
  • ,
  • 阿部 寛信

開始ページ
20
終了ページ
記述言語
日本語
掲載種別
機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等
DOI
10.11484/jaea-research-2021-002

環境試料中に極低濃度で存在する$^{129}$IをICP-MS法で高感度かつ迅速に分析するために、共存する干渉元素(Na, Mg, K, Ca, Mo, Cd, In)からIを分離する前処理として固相抽出法が広く利用されている。固相抽出樹脂として、既存のアミノ基を導入した陰イオン交換樹脂とともに、近年ではAg$^{+}$担持樹脂の利用が進められており、それぞれの樹脂の特性を踏まえて前処理法の最適化が必要となっている。本研究では、陰イオン交換樹脂であるDOWEX1-X8およびAG1-X8, Ag$^{+}$担持樹脂であるCLResinについて、干渉元素からのIの分離特性を比較し、環境試料中の$^{129}$IのICP-MS分析への適用性を調査した。吸着・溶出試験の結果、全ての固相抽出樹脂はIを定量的に吸着回収した。また、CLResinは干渉元素の除去性能が最も高く、Moを3.1\%残存するものの、その他の干渉元素をICP-MSの検出下限値以下にまで除去した。しかし、$^{129}$Iと干渉元素との濃度比の考察から、CLResin処理後に残存するMo濃度は$^{129}$IのICP-MS測定になお干渉するレベルであったことから、CLResinからの溶出液を陽イオン交換樹脂(DOWEX50WX8)で処理したところ、溶出液中Moの98\%以上が除去され、Moによる測定干渉を除去することができた。したがって、本研究の結果、干渉元素の除去にはCLResinが最適であり、また、CLResinとDOWEX50WX8を組み合わせた前処理法は、極低濃度(バックグラウンドレベル)の$^{129}$IのICP-MS分析を可能とする有力な手法となる可能性があることを提示している。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.11484/jaea-research-2021-002
URL
https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5071024
ID情報
  • DOI : 10.11484/jaea-research-2021-002

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