論文

査読有り
2020年11月

生体内硬組織試料中$^{90}$SrのICP-MS測定に向けたSrレジンの適用性

KEK Proceedings 2020-4
  • 小荒井 一真
  • ,
  • 松枝 誠
  • ,
  • 青木 譲
  • ,
  • 柳澤 華代*
  • ,
  • 藤原 健壮
  • ,
  • 寺島 元基
  • ,
  • 北村 哲浩
  • ,
  • 阿部 寛信

2020-4
開始ページ
180
終了ページ
185
記述言語
日本語
掲載種別

従来の放射能測定法は、緊急時の迅速な測定が困難な点や、大量の試料を短期間に測定できない点が$^{90}$Sr分析の課題である。放射能測定以外の手法として、ICP-MSによる$^{90}$Srの定量が試みられている。土壌や水以外の$^{90}$Srの重要な分析対象として骨等のCaを多く含む高マトリックス試料も挙げられる。本研究では、ICP-MSによる歯や骨といった硬組織の$^{90}$Sr分析への適用性を検討した。魚の骨試料を対象にカラムを用いて化学分離を行ったところ、カラムへの試料導入と2.6M硝酸での洗浄の段階で、安定Srは効率よく回収し、Ca, Feはほぼ全て除去できた。Mg, Baは完全に除去できなかったが、安定Srの濃度に比べ2桁以上低濃度であり、マトリックス効果は確認されなかった。もともと低濃度のZr, Ge, Seの除去の程度の見積もりが困難であったが、質量数90でのアバンダンス感度は確認されず、ICP-MSでの$^{90}$Sr測定時の干渉がないことがわかった。本手法は安定Srを効率よく回収しながらICP-MS測定の干渉元素を除去できるため、今後、硬組織中の$^{90}$SrをICP-MSで分析する際の化学分離法への適用が期待される。

リンク情報
J-GLOBAL
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202102289349000854
URL
https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5068348
ID情報
  • J-Global ID : 202102289349000854

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