共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2025年3月

家計内の育児・介護の意思決定における非効率性がある下での最適な政策分析

日本学術振興会  科研費 若手研究  若手研究

課題番号
21K13316
体系的課題番号
JP21K13316
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
2,990,000円
(直接経費)
2,300,000円
(間接経費)
690,000円

本研究課題の目的は、家計内での育児と介護に関する非効率性を同時に考慮することで、少子高齢化の進展において持続可能な社会を実現するための最適な育児・介護政策を規範的に明らかにすることである。
今年度は介護に関する意思決定の問題を考慮した分析まで進めることができなかったため、育児に関する家計内での非協力行動から生じる非効率性のみを考慮した下での最適な育児政策を考察した。最適課税理論の枠組みを用いて分析を進めたため、税制の側面から望ましい政策介入を検討しており、政府は非線型労働所得課税と物品課税/補助を実行できると仮定した。
本研究から得られた結果は主に以下の3つにまとめられる。第1に、家計内での非協力行動によって育児時間の過小供給が生じた場合には、所得課税を用いて非効率性を是正することが望ましい。第2に、家計内での非協力行動によって育児に必要な財・サービスの過小需要が生じた場合には、非効率性の是正のために所得課税ではなく、むしろ所得補助が望ましくなる可能性が示された。またその際には、育児に必要な財・サービスへの物品補助によって過小供給の問題がより緩和されることも明らかにされた。第3に、世帯単位課税ではなく日本の税制のように個人単位課税を採用する場合であったとしても、家計が非協力的である場合には各家計の配偶者の労働所得も考慮した上で税制を構築した方が公平性の観点から望ましいことが明らかにされた。この結果は、協力的な家計を前提とする先行研究において示されてきた、個人単位課税に配偶者の労働所得を税制に反映すべきではないという結果とは異なるものであり、配偶者控除などの税制措置を支持する結論が得られた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K13316
ID情報
  • 課題番号 : 21K13316
  • 体系的課題番号 : JP21K13316