室温でアンチスキルミオンを示す新物質の発見

軽部 皓介    田口 康二郎    賀川 史敬    十倉 好紀   ポン・リソン   于 秀珍   マーセル・ヤン   

~トポロジカル磁気構造の基礎研究・デバイス応用に期待~

 

理化学研究所(理研) 創発物性科学研究センター 強相関物質研究グループの軽部 皓介 研究員、田口 康二郎 グループディレクター、電子状態マイクロスコピー研究チームのポン・リソン 特別研究員、于 秀珍 チームリーダー、強相関理論研究グループのマーセル・ヤン 訪問研究員、動的創発物性研究ユニットの賀川 史敬 ユニットリーダー、強相関物性研究グループの十倉 好紀 グループディレクター(同 センター長)らの研究グループは、室温で「アンチスキルミオン」と呼ばれる渦状の磁気構造を示す新物質を発見しました。

本研究成果は、トポロジカル磁気構造の基礎研究や磁気記録デバイスへの応用研究に貢献すると期待できます。

アンチスキルミオンは、D2d対称性またはS4対称性の結晶構造を持つ磁性体において形成されると予想されています。しかし、これまでに報告されているアンチスキルミオン物質は、D2d対称性を持つ合金のみでした。

今回、研究グループは、アンチスキルミオン物質として、S4対称性を持つ新しい磁性体「Fe1.9Ni0.9Pd0.2P(Fe:鉄、Ni:ニッケル、Pd:パラジウム、P:リン)」を開発し、室温を含む広い温度領域(マイナス170~130度)でアンチスキルミオンを観測することに成功しました。また、試料の厚さを変えることで、磁気ドメイン構造のサイズが劇的に変化し、厚い試料の表面では、結晶の対称性を反映したノコギリ型の新しい磁気ドメイン構造が形成されることを発見しました。

本研究成果は2021年1月26日(日本時間)、国際科学誌「Nature Materials」オンライン版に掲載されます。

発信機関 :  科学技術振興機構      理化学研究所     
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