共同研究・競争的資金等の研究課題

2000年 - 2001年

炭酸ガス・温水の生体への影響に関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
12832052
体系的課題番号
JP12832052
配分額
(総額)
1,100,000円
(直接経費)
1,100,000円

炭酸ガス温水に身体を浸けると、炭酸ガスは皮膚から浸透し、その化学的作用としての強力な血管拡張作用によりその部位の血流が改善することが知られている。これまでに、人工炭酸泉浴剤については褥瘡の治療、パーキンソン病への影響、脳卒中に対する循環改善作用など様々な観点から研究してきた。
平成12年度は、臨床応用を一つの目標とかかげた。実際の臨床的にも、腰痛症や慢性関節リウマチの疼痛に対し、実際に効果があることを、高濃度炭酸ガス温水浴と水道水温水をプラセーボとした対比実験で実証し、同雑誌63:173-180,2000.に報告した。
加えて、脳卒中などの神経の痙縮に対する基礎的な研究として、温度刺激に対する神経の反応を、同雑誌63:143-150,2000.に発表し、知覚神経のうち持続鈍痛に関わるC繊維の閾値を上昇させることで疼痛が軽減することを示唆した。
平成13年度の研究として、高濃度炭酸ガス温水浴の全身浴における体温の変化を、J.J.A.Phys.M.Baln.Clim.64:113-117,2001.で報告し、体温の上昇は著明で代謝・循環改善には有効であると示唆した。また、全身浴のみならず下肢の部分浴でも、代謝・循環改善が得られることを、同雑誌64:145-149,2001.で報告した。
加えて、疼痛閾値の上昇について、平成12年度の前段階の実験である水道水温浴の温熱刺激の結果を踏まえ、今度は実際に炭酸ガス温水浴を用いて検討した。その結果、温度による疼痛閾値の上昇はあるものの、炭酸ガス温水の直接の神経に対する作用はなかった。したがって、炭酸ガス温水浴が良好に疼痛を改善させるのは神経に対する疼痛の直接の軽減ではなく、温熱による代謝・循環改善の要素が大きいことがわかった。その結果を、同雑誌64:191・199,2001.に報告した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-12832052
ID情報
  • 課題番号 : 12832052
  • 体系的課題番号 : JP12832052