2017年4月 - 2020年3月
脳出血に対するヒト脂肪組織由来幹細胞を用いた神経再生療法
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
前年度に、コラゲナーゼ誘発脳出血モデルマウス(C57BL/6)に対し、脳出血誘導24時間後にヒト脂肪由来幹細胞(hADSC)の静脈内投与を行い、脳出血により悪化する高次脳機能障害ならびに運動機能障害を、ヒト脂肪由来幹細胞の投与が改善することを示した。当該年度では、そのメカニズムに関して、主に免疫反応が関与する脳出血後の二次的損傷に注目して解析を行った。
まず血腫周囲の免疫担当細胞に関して、免疫染色にて評価したところ、Day8においてhADSC群で血腫周囲のCD11b+細胞の減少を認めた。次にフローサイトメトリーにてCD11b+細胞の分画の評価を行ったところ、hADSC群において、CD11b+CD45+の絶対数の減少があり、CD86+Ly6C+細胞の割合の上昇を認めた。しかしこの反応は同時期の脾臓では認められなかった。
これらの細胞はマクロファージやミクログリアに相当し、hADSCでこれらの炎症細胞の絶対数が脳内で抑制されていることが示された。またマクロファージやミクログリアの分画においては、CD86+細胞やLy6C+細胞、つまり炎症性細胞の割合の上昇を認めた。一方で、マクロファージやミクログリアの抑制は、CD163+細胞やLy6G+細胞、つまり抗炎症細胞が抑制されていることを示している。これらの結果は、hADSCは脳出血の急性期から亜急性期において、免疫担当細胞を抑制することで慢性期の神経所見を改善し得ることを示している。
ここまでの結果を論文として取りまとめ、英文雑誌に投稿し、すでに受理されている。
まず血腫周囲の免疫担当細胞に関して、免疫染色にて評価したところ、Day8においてhADSC群で血腫周囲のCD11b+細胞の減少を認めた。次にフローサイトメトリーにてCD11b+細胞の分画の評価を行ったところ、hADSC群において、CD11b+CD45+の絶対数の減少があり、CD86+Ly6C+細胞の割合の上昇を認めた。しかしこの反応は同時期の脾臓では認められなかった。
これらの細胞はマクロファージやミクログリアに相当し、hADSCでこれらの炎症細胞の絶対数が脳内で抑制されていることが示された。またマクロファージやミクログリアの分画においては、CD86+細胞やLy6C+細胞、つまり炎症性細胞の割合の上昇を認めた。一方で、マクロファージやミクログリアの抑制は、CD163+細胞やLy6G+細胞、つまり抗炎症細胞が抑制されていることを示している。これらの結果は、hADSCは脳出血の急性期から亜急性期において、免疫担当細胞を抑制することで慢性期の神経所見を改善し得ることを示している。
ここまでの結果を論文として取りまとめ、英文雑誌に投稿し、すでに受理されている。
- ID情報
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- 課題番号 : 17K10854
- 体系的課題番号 : JP17K10854