2021年10月7日
書評 謎ときサリンジャー 評・作家 乗代雄介
- 種別
- 新聞・雑誌
...だから、シーモアの拳銃自殺に他殺の可能性を見た上で、他作品も踏まえた証拠を突きつけて前述の読みを際立たせる手際に、悔しさを覚えながらページをめくった。「頭蓋骨」を介して「銃声」や「水の音」はともかく「ビー玉遊び」にまで繋がるのには興奮した。結局、読み終えて残ったのは、嫉妬ではなく感謝の念だった。この賢明で鮮やかな謎ときを足がかりに、読者は小説に込められた別の謎も検討することができるだろう。...
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