講演・口頭発表等

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2021年11月6日

ポーとドイルを読むトウェイン

日本マーク・トウェイン協会第25回全国大会
  • 竹内 康浩

記述言語
会議種別
シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)

マーク・トウェインはエドガー・アラン・ポーのデュパン物語を激賞する一方で、新星コナン・ドイルのシャーロック・ホームズものはお気に召さなかったようだ。トウェイン自身に探偵小説家への憧れがあったことは疑い得ない。『トム・ソーヤの冒険』も殺人事件とその解決を巡る物語だし、『まぬけのウィルソン』もそうだ。最高の探偵小説を書きたいという野心が常にくすぶっていた。だからホームズの物語を読んだとき、してやられたと思ったのかもしれない。だが、A Double Barrelled Detective Story (1902)で、ホームズを作中人物として登場させ、自らの探偵(役を担う人物)と対決させたとき、そこにあったのは単なるドイルへの嫉妬心やライバル心だけだったのだろうか。より本質的な理由――事件の解決方法への不満――があったのではないか。トウェインが考えた正当な解決方法の裏に血縁の主題へのこだわりがあったことを、ポーとドイルの探偵たちの手法と比較しながら確認していきたい。