共同研究・競争的資金等の研究課題

2006年 - 2007年

マルチエージェントシミューレーションによる地域農業政策の効果予測及び評価手法の確立

日本学術振興会  科学研究費助成事業  特別研究員奨励費

課題番号
06J00821
体系的課題番号
JP06J00821
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
1,600,000円
(直接経費)
1,600,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

本研究で開発したマルチエージェントシミュレーションモデル「ASMAP」によって,地域農業計画の合意形成段階の問題構造の把握から,施策効果の予測に至るまでの一連の分析を行い,以下のような成果を得た。
(1)地域共同の資源保全活動に対して,「(同調行動を促す)社会規範」の多寡が参加意向形成過程への寄与が大きい。また,内発的な共同活動へのモチベーションを維持し,持続的な取り組みにつなげていくためには,現状でも共同活動への参加意向が高い地域性というものが,非常に強い要因となっている。
(2)今日の圃場整備事業においては,集落営農組織等の重点的な担い手の創出が必須であり,関係農家の啓発情報の観点からも,事業効果の事前評価が重要である。その点に対して,秋田県内で総合化手法(ハード事業とソフト施策の同時実施)による圃場整備事業計画地区を事例にASMAPを適用し,総合化手法の効果予測を基に施策推進の必要性や意義を実証的に見出した。また,分析に必要な情報量が渦度に増加し,分析の遂行自体が困難になることに対する検討として,モデル入力情報が農地保全や農業所得推移の予測結果に及ぼす影響を分析した。その結果,通作距離の影響を強く受ける管理作業時間を規定する,圃場の位置や所有者の権利関係を正確に反映しなければ,予測精度が著しく低下することが明らかとなった。
(3)ドラマ理論の知見を応用した主体間相互作用のモデル化により,環境保全活動(ため池管理)に関するこれまでの合意形成のプロセスを時系列的にトレースできたことに加えて,将来的に起こりうる紛争を円滑に対処・解決するための,様々なシナリオを提示する基礎的構造(ツール)が完成した。これらの情報は,ワークショップ等の機会において,非常に有効であると期待され,その本格的な実践が次なる課題と言える。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-06J00821
URL
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-06J00821/
ID情報
  • 課題番号 : 06J00821
  • 体系的課題番号 : JP06J00821