2016年6月
付加体形成過程における水・岩石反応解析への割れ目充填鉱物の応用; 九州四万十帯における事例
Journal of Structural Geology
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- 巻
- 87
- 号
- 開始ページ
- 81
- 終了ページ
- 94
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- DOI
- 10.1016/j.jsg.2016.04.009
付加体の形成にともない割れ目充填鉱物が形成する。これらの鉱物は特定の地質学的環境のもとで形成したものであり、鉱物から付加時の環境を推定できる可能性がある。本研究では九州四万十帯の地下約140mから掘削されたボーリングコアに対し、地質学的観察および分析を実施した。その結果、鉱物の構造関係は、研究対象岩体の割れ目充填鉱物の形成時期が5つのステージに区分されることを示唆した。充填鉱物種の組み合わせから、岩体は深度数kmまで沈み込み、200$\sim$300$^{\circ}$Cに到達したと推定される。その後、岩体が隆起すると、地表から地下80mまで達する酸性地表水の浸透が生じた。この酸性水により割れ目を充填する方解石が溶解することで、割れ目が現在の地下水の水みちとなったと考えられる。これらの知見は、充填鉱物が付加体地下環境の変遷を解析するための有用なツールとなることを示唆する。
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- DOI : 10.1016/j.jsg.2016.04.009
- ISSN : 0191-8141