共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

環境化学物質の新たな毒性指標:脂肪酸2位水酸化酵素FA2H誘導とその意義

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
21K12261
体系的課題番号
JP21K12261
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

申請課題は、「環境化学物質の新たな毒性指標:脂肪酸2位水酸化酵素FA2H誘導とその意義」 である。我々も含めた多くの研究者が、エストロゲン受容体α(ERα)に 作用する環境化学物質の影響を解析してきた。しかし、 盲点であったのが、「ERα陰性乳がん」の存在である。このタイプの乳がんは、ERαに依存しないメカニズムで増殖する。これまでに、ERα陰性乳がんに注目し、環境化学物質が与える毒性影響を網羅的かつ詳細に解析した例はない。本研究では、ERαに依存しないメカニズムで乳がんの悪性化を来す環境化学物質に注目して検討を進めることを目指した。
本研究では、ERα陰性乳がんの増悪には、脂肪酸の量的変化ではなく、その「質的変化 = 2位水酸化脂肪酸代謝物の生成」が関与しているとの仮説を立てた。この質的変化を引き起こす要因として、環境化学物質によるPPARαを介したFA2Hの発現誘導を想定し、本研究では、この仮説の証明をin vitroからin vivoレベルに渡る基礎研究で目指すことにした。
最近報告された論文によると、ペルフルオロオクタン酸(PFOA:ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α(PPARα)の刺激作用を有する)曝露とERα陰性乳がんリスクに正の相関があることが示唆された(Int. J. Cancer, 146: 917, 2020)。そこで本年度は、現在、環境化学物質として問題となっているPFOAに着目し、上記に示した仮説の検証をin vitroで行った。その結果、PFOAは、PPARαの活性化に符合したFA2Hの発現誘導に起因するERαがん細胞の悪性化(遊走能の亢進)を来すことが明らかになった(論文としてみ刊行済み)。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K12261
ID情報
  • 課題番号 : 21K12261
  • 体系的課題番号 : JP21K12261