共同研究・競争的資金等の研究課題

2004年 - 2005年

蚊アレルギーにおけるEBウイルス再活性化機構およびNK 細胞の発癌機構の研究

科研費  基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
16591113
体系的課題番号
JP16591113
担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

「蚊アレルギー」とは,蚊刺に対して水疱や壊死を伴う激しい局所反応に加え,発熱,リンパ節腫脹,肝機能障害などの全身症状を呈する疾患である。近年,この蚊アレルギーの基礎に,EBウイルスが感染したNK細胞(EBV-NK)の増殖症が潜んでおり,その多くが,将来NK細胞型悪性リンパ腫を発症することが明らかとなってきている。これまでの研究で,蚊アレルギー患者のCD4^+T細胞が,ヒトスジシマカ唾液腺抗原刺激に対して著しく反応し,この活性化CD4^+T細胞をEBV-NKと混合培養することにより、EBV-NKの一部からEBVの再活性化が誘導され,また,一部のEBV-NKにおいては,EBV発癌遺伝子LMP1の発現が増強することが判明した。今回我々は,蚊アレルギー患者からEBV-NKの長期純粋培養系を確立し、この培養細胞を同一患者由来の蚊抗原刺激CD4^+T細胞と混合培養した結果、LMP1の発現増強およびEBV-NKの増殖亢進が確認され,この実験系を用いて以下の結果を得た。まず,蚊唾液腺抗原刺激により患者CD4^+T細胞から分泌されるサイトカインを検討した結果,特にIL-4,IL-10,TGF-βの発現がmRNAレベル,蛋白レベルで有意に増加し,蚊アレルギーではT細胞はTh2優位の反応を示すことが判明した。EBV-NKと蚊抗原刺激CD4^+Tとの混合培養にIL-2,IL-4,IL-10,TGFβに対する中和抗体を加えて,LMP1の発現,EBV-NKの増殖に対する影響を検討した結果,抗IL-4抗体,抗IL-10抗体はLMP1 mRNAの発現やEBV-NKの増殖には影響せず,一方,抗IL-2抗体がLMP1 mRNAの発現抑制に,また抗TGF-β抗体が発現増強に働くことが明らかとなった。さらに,抗TGF-β抗体はEBVの再活性化に対しては抑制的に働くことが判明した。さらに、アンピシリンによる薬疹において,アンピシリン投与により血中EBV DNAレベルが上昇する症例を見出し、EBVの再活性化が、蚊アレルギー以外のアレルギー疾患とも深く関わっていることを明らかにした。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16591113
ID情報
  • 課題番号 : 16591113
  • 体系的課題番号 : JP16591113