論文

2018年4月

ポリオ根絶計画の最終段階と環境水サーベイランスの意義

日本小児科医会会報
  • 吉田 弘

55
開始ページ
124
終了ページ
127
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(公社)日本小児科医会

ポリオ環境水サーベイランスは、ウイルス感染者から排泄される糞便が流れ込む下水からポリオウイルスを検知し、間接的に地域の感染者の存在を把握する方法である。世界ポリオ根絶計画の最終段階では世界各地で実施されており、日本でも2013年より予算事業として始まった。2012年9月に定期接種用ワクチンとして経口生ワクチンから不活化ポリオワクチンに切り替えた後、2014年と2016年に3型ポリオワクチン株が本法により分離されており、いずれも一過性の輸入例と考えられている。同時に分離されるエンテロウイルスの調査では、稀な血清型が下水でのみ検知されること、冬季を含め長期間検出される血清型が存在すること等、患者サーベイランスとは異なる情報が蓄積しつつある。また本法は、ポリオ、エンテロウイルス以外の下痢症など腸管系ウイルス等も検知可能であり、顕性、不顕性に関係なく感染症の流行状況を把握できるため今後の応用が期待される。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0912-1781
  • eISSN : 2435-9270
  • 医中誌Web ID : 2019098085

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