共同研究・競争的資金等の研究課題

2008年 - 2009年

転写因子SEVEN-UPによる遺伝子発現プログラムのスイッチング

文部科学省  科学研究費補助金(特定領域研究)  特定領域研究

課題番号
20052028
体系的課題番号
JP20052028
担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

ショウジョウバエにおける神経幹細胞様の細胞であるNeuroglioblast(NGB)は多種類のニューロンとグリアを産み出す。転写因子Seven-upはNGBで一過的に発現し,NGBが正確に分裂回数を刻むことに寄与している。今回、Seven-upはグリアにおいてはグリアの移動が終わるステージから後期胚まで持続的に発現していることを明らかにした。これらSeven-upが発現しているグリアの一部は、ショウジョウバエにおける血液脳関門として重要な働きをしている細胞である。この血液脳関門はショウジョウバエにおいて体液と神経系を隔てる重要な組織である。Seven-up変異体ではグリアの数にはほとんど変化は無かったが、一部のグリア細胞の位置に異常が認められた。血液脳関門を構成するグリアの成熟過程については現在のところほとんど知られてはおらず、今回の結果が新たな突破口となると考えられる。
一方、グリア特異的前駆細胞から産み出されるLogitudinal Glia(LG)はNotchシグナルのON/OFFにより2種類に分けることが出来る。今回我々は、LGにおいてNotchシグナルが活性化されているにも関わらず、この2種類のグリアの個性が失われる変異体を単離することに成功した。これらの変異体は転写因子をコードしており、Notchシグナルが特定のグリアを産み出すための分子環境(コンテキスト)を与えていると考えられる。Notchシグナルは発生段階において多くの場面で繰り返し使われており、如何にして下流標的因子を選択しているのかは大きな問題であったが、今回の我々の結果はこの間題を解決できる手掛かりなると考えられる。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/20052028.ja.html
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20052028
ID情報
  • 課題番号 : 20052028
  • 体系的課題番号 : JP20052028