2013年8月20日
ブタ線維芽細胞増殖因子4タンパク質の生産およびPEF SV40細胞の細胞増殖に及ぼす影響
J Reprod Dev
- 巻
- 59
- 号
- Suppl Japanese Issue
- 開始ページ
- J116
- 終了ページ
- j116
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.14882/jrds.106.0.P-29.0
- 出版者・発行元
- (一社)日本繁殖生物学会
【目的】マウスの胚発生において,線維芽細胞増殖因子4(FGF4)は胎盤形成に関与する,重要な細胞増殖因子である。しかし,主要な産業動物であるブタの<i>FGF4</i>構造遺伝子塩基配列(GenBank XM_003122418)はドラフトシークエンスであるために誤りが存在する可能性が否定できない。そこで本研究では,品種が明らかなブタに由来する<i>FGF4</i>構造遺伝子の全塩基配列を決定した。また,大腸菌によりブタFGF4タンパク質を生産し,細胞増殖促進活性を検討した。【材料および方法】ランドレース種(2頭),デュロック種(4頭)の白血球からゲノムDNAを調製し,<i>FGF4</i>構造遺伝子の全塩基配列を決定した。決定した配列情報に基づき,N末端側にHisタグを付加し,かつ,分泌シグナルペプチドを除去した成熟型ブタFGF4(HispFGF4)を大腸菌において発現させ,ヘパリンカラムクロマトグラフィーにより精製した。次に,HispFGF4によるブタ胎仔線維芽細胞株PEF SV40細胞の増殖促進活性を検討した。さらに,FGF受容体活性の阻害剤(PD173074)を用いて,HispFGF4の作用経路を検討した。【結果および考察】ランドレース種,デュロック種に由来する<i>FGF4</i>構造遺伝子の塩基配列と,GenBank登録配列(XM_003122418)を比較したところ,サイレント変異は認められたものの,アミノ酸配列は完全に一致した。大腸菌により,推定した一次構造に基づいたHispFGF4を発現することができた。ヘパリンカラムクロマトグラフィーにより分画すると,0.92 M NaClにより溶出された。精製したHispFGF4の細胞増殖促進活性を検討したところ,PEF SV40細胞の増殖が有意(P<0.05)に促進された。PD173074を添加すると,HispFGF4による細胞増殖は有意(P<0.01)に抑制された。以上の結果より,生物活性を有するHispFGF4を生産することができたことが示された。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.14882/jrds.106.0.P-29.0
- ISSN : 0916-8818
- eISSN : 1348-4400
- 医中誌Web ID : 2014046981
- J-Global ID : 201302293474119485
- CiNii Articles ID : 130005051156
- identifiers.cinii_nr_id : 9000283894585