共同研究・競争的資金等の研究課題

2001年 - 2002年

レドックス情報に基づく新しいがん画像診断用プローブの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
13672268
体系的課題番号
JP13672268
配分額
(総額)
3,000,000円
(直接経費)
3,000,000円

正常マウス(C3H)皮下に埋め込んだリチウムフタロシアニン(LiPc)のESRシグナルの線幅を4匹のマウスで個別に測定した。照射しなかった場合の線幅が約1週間ほとんど変化しなかったのに対し、炭素線(13keV/μm)を脚部に20Gy照射した場合はすべてのマウスで照射数時間後に線幅の増加が観察された。これは炭素線照射後に皮下の酸素分圧が若干増加したことを意味する。腫瘍(RIF-1)組織内のLiPcのESRシグナルの線幅は正常組織皮下と比較して小さく、正常組織に比べ腫瘍内の酸素分圧が低いことが確認された。
ピロリジン環ニトロキシルラジカル(PROXYL)およびピペリジン環ニトロキシルラジカル(TEMPO)について置換基を変えて安定性を調べたところ、PROXYL系はグルタチオンやNADPH存在下のスーパーオキシドラジカルとの反応に比較的抵抗性であった。腫瘍組織では酸化ストレスを受けていることが示唆されていることから、ミトコンドリア等による還元的代謝を指標にviabilityを調べるためにはそれ以外によるシグナル消失を受けにくいPROXYL系がTEMPO系より適することが示された。3-ハイドロキシメチル-2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-N-オキシルラジカル(hydroxymethyl-PROXYL)を静脈内投与し、RIF-1腫瘍部位においてESRを測定した。hydroxymethyl-PROXYLのESRシグナルの消失は半減期約25分と比較的遅かった。
RIF-1腫瘍内に埋め込んだLiPcのESR画像を得た後、hydroxymethyl-PROXYLを静脈内投与してESR画像を得ることにより、各々のプローブの分布を同一動物で画像化した。
今後ソフトウエアの開発により上記酸素分圧とviabilityの同一動物での画像化が可能となると考えられる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-13672268
ID情報
  • 課題番号 : 13672268
  • 体系的課題番号 : JP13672268