共同研究・競争的資金等の研究課題

1993年 - 1994年

カリウムチャンネル形成膜蛋白質Iskの膜貫通セグメントを用いての膜貫通構造評価

日本学術振興会  科学研究費助成事業 一般研究(C)  一般研究(C)

課題番号
05680584
体系的課題番号
JP05680584
配分額
(総額)
2,000,000円
(直接経費)
2,000,000円

膜を貫通している蛋白質の構造は、主としてa-ヘリックスからなるペプチドセグメントが寄り集まって成り立っていると考えられている。しかしそれらのalpha-ヘリックスセグメントはいかにして膜を貫通するか、又膜を貫通する部分は蛋白質のどの部分であるかを評価することは、現在推測の域に有る。そこでより正確な膜貫通セグメントを評価するためカリウムチャンネル活性を持つ膜蛋白質Iskの膜貫通セグメントをモデルとして膜貫通に果たす各アミノ酸の役割を脂質二分子膜の相互作用をとうして調べることとした。先ずこのモデルペプチドの合成及び脂質二分子膜への貫通状態をCD、FT-IR,又チャンネル形成能を平面膜法などで調べた。
膜蛋白質Iskの膜貫通ペプチド(ホスト)のデザイン及び合成;腎臓よりえられた人Iskは約130残基空なる一回膜貫通型蛋白質と考えられている。その膜貫通部と予想される部位40残基
RDDSKLEALYILMVLGFFGFFTLGIMLSYIRSKKLEHSHD・・・・(1)をペプチド自動合成機(ミリジェン社9050型)で合成した。合成中間体及び最終物の精製を高速液体クロマトグラフィーでおこない、アミノ酸分析やFAB-Mass分析を行うことにより、目的のものが、純度良く合成されていることを、確認した。
リポソーム存在下でのペプチドの高次構造をCD、およびFT-IR法をもちいて調べたところ、このペプチドは、予想に反してbeta-構造が主体であった。そのイオンチャンネル形成能を平面膜法で調べたところ、チャンネル活性がみられなかった。そこで上記モデルペプチドの鎖を短くしたSKLEALYILMVLGFFGFFTLGIMLSYIRSKKL----(2)を、合成して同様にチャンネル活性を調べたところ、カチオン選択性のイオンチャンネルを形成した。この脂質膜中のコンホメーションを上記同様調べたところ、310-ヘリックスを形成する可能性を示唆した。現在、その詳細をさらに検討中である。更に1の3つのGlyをAlaに変えたアナログを合成し、チャンネル活性を測定したところ、興味あることに、チャンネル様の電流の流れは見られなかったが安定したアニオン選択性を示した。これらの結果を基に、2にゲストアミノ酸を数個導入したペプチドを合成して物理化学的性質を調べることにより、その膜貫通能力を上記実験を通じて初期の各アミノ酸の膜貫通に対するパラメーターを決める実験を展開中である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-05680584
ID情報
  • 課題番号 : 05680584
  • 体系的課題番号 : JP05680584