共同研究・競争的資金等の研究課題

2002年 - 2004年

フルクタンに関するゲノム情報を活用した高品質・高機能なイネ科牧草育種素材の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
14360160
体系的課題番号
JP14360160
配分額
(総額)
13,200,000円
(直接経費)
13,200,000円

フルクタンは可溶性炭水化物(WSC)の二種で、イヌリンやレバン、フルクトオリゴ糖を含む三糖以上のフルクトースポリマーで、イネ科牧草などに含まれる。その含量は越冬性と飼料品質の向上に深く関わり,その代謝に着目することは,越冬性に優れ,高品質かつ高機能な品種の開発に重要である。そこで,フルクタンに関するゲノム情報を活用しながら,高品質・高機能なイネ科牧草育種素材の開発を図ることを目的とした。
1.オーチャードグラスの品種・系統、エコタイプおよび近縁種におけるWSCやフルクタン含量の変異を明らかにした。交雑試験から含量は遺伝支配であることを明らかにし、選抜を繰り返して、高含量系統を育成した。
2.ペレニアルライグラス低温馴化冠部組織から作成したcDNAライブラリーから、コムギのゲノム情報を利用して、フルクタン合成酵素(1-FFT、6G-FFT、1-SST)をコードする遺伝子を単離し、酵母(Pichla pastoris)発現システムを用いて同定した。6G-FFT遺伝子の単離はイネ科植物で初めてである。連鎖解析集団の多型解析によりマッビングを行ったところ、6G-FFTは連鎖群3に、1-FFTと1-SSTは連鎖群7に座乗した。1-FFT遺伝子は低温馴化過程で遺伝子発現量が増加することをリアルタイムRT-PCR法で確認した。
3.フルクタン含量のQTLはフルクタン合成酵素遺伝子の座上位置とは一致せず、直接関与する酵素遺伝子以外の因子によって含量の変異が支配されている可能性が示唆された。圃場での越冬性QTLのうち2箇所はフルクタン量のQTL領域と一致した。
4.フルクタン合成酵素遺伝子を過剰発現させたペレニアルライグラス形質転換植物体では、フルクタン含量と耐凍性が向上したことから、フルクタン合成酵素遺伝子を導入することは植物の耐凍性を向上させる手段として有効であることが示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-14360160
ID情報
  • 課題番号 : 14360160
  • 体系的課題番号 : JP14360160