2017年4月 - 2020年3月
パレオフォレストリーに基づく日本海地域のスギの成立および変遷要因の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
本研究課題は、日本海北部地域のスギを対象に、花粉分析、磁気分析、DNA 分析、分布適域モデル、歴史史料解析、GIS 手法を組み合わせた分野横断型研究を展開し、気候変動の影響がスギの拡大に及ぼした影響と人間活動が近世以降のスギの縮小に及ぼした影響を明らかにすることを目的としている。今年度も採取した堆積物の花粉分析、スギ天然林集団のDNA解析、歴史史料および林相図の収集を継続して行った。
魚津埋没林堆積物の花粉分析から、カシやナラを主体とする落葉広葉樹林が約2000年前にスギを主体としハンノキ属やトネリコ属を含む湿地林へと変遷したことが明らかになった。全国のスギ天然林34集団、計1057個体を対象に、葉緑体SSR10座について解析を行ったところ、66のハプロタイプが検出されたが、地理的な傾向は認められなかった。そこで、スギの全葉緑体配列から新たに23座のSNPマーカーを設計して解析を行った結果、多型性の認められた10座の情報から15のハプロタイプが検出された。集団を4つの遺伝グループにわけ、ハプロタイプの頻度を調べたところ、北日本と屋久島グループでそれぞれ3つの特有のハプロタイプが検出され、地域性を反映することが強く示唆された。
江戸時代初期に作成された正保国絵図の描写、正保郷帳の記載に基づき秋田地域の山地植生を把握できるか検討を開始し、藩ごとに山柄の記載が異なっているものの、絵図の描写と郷帳の記載はある程度一致していることが確認できた。秋田県旧荒瀬村について森林計画資料附帯の林相図を用いて昭和初期以降約90年間の林相変化を復元し、昭和初期には国有林の1割ほどであったスギ林面積が3割まで増加したことが明らかになった。北秋田市阿仁地域における花粉分析結果と周辺地域の歴史史料の記述を比較したところ、江戸時代以降では阿仁地域の鉱業発展や森林管理によってスギ林が増減したことが示された。
魚津埋没林堆積物の花粉分析から、カシやナラを主体とする落葉広葉樹林が約2000年前にスギを主体としハンノキ属やトネリコ属を含む湿地林へと変遷したことが明らかになった。全国のスギ天然林34集団、計1057個体を対象に、葉緑体SSR10座について解析を行ったところ、66のハプロタイプが検出されたが、地理的な傾向は認められなかった。そこで、スギの全葉緑体配列から新たに23座のSNPマーカーを設計して解析を行った結果、多型性の認められた10座の情報から15のハプロタイプが検出された。集団を4つの遺伝グループにわけ、ハプロタイプの頻度を調べたところ、北日本と屋久島グループでそれぞれ3つの特有のハプロタイプが検出され、地域性を反映することが強く示唆された。
江戸時代初期に作成された正保国絵図の描写、正保郷帳の記載に基づき秋田地域の山地植生を把握できるか検討を開始し、藩ごとに山柄の記載が異なっているものの、絵図の描写と郷帳の記載はある程度一致していることが確認できた。秋田県旧荒瀬村について森林計画資料附帯の林相図を用いて昭和初期以降約90年間の林相変化を復元し、昭和初期には国有林の1割ほどであったスギ林面積が3割まで増加したことが明らかになった。北秋田市阿仁地域における花粉分析結果と周辺地域の歴史史料の記述を比較したところ、江戸時代以降では阿仁地域の鉱業発展や森林管理によってスギ林が増減したことが示された。
- ID情報
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- 課題番号 : 17H03838
- 体系的課題番号 : JP17H03838