共同研究・競争的資金等の研究課題

2008年 - 2012年

多機能性GnRHペプチド神経系の生物機能に関する統合的研究

文部科学省  科学研究費補助金(基盤研究(A))  基盤研究(A)

課題番号
20247005
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
48,230,000円
(直接経費)
37,100,000円
(間接経費)
11,130,000円
資金種別
競争的資金

申請者らは、生殖調節に強く関与している脳内のGnRH1ニューロンに焦点を当て、メダカを用いて研究を行った。生殖可能な時期のメダカは、条件さえ整えば毎日産卵を繰り返し1日という短い生殖周期を示すため、生殖周期に応じた神経活動変化等の解析が容易である。申請者らは脳内のGnRH1ニューロン特異的にGFPを発現するような遺伝子組換メダカを作り、ほぼ丸ごとの脳をin vitroの状態に保ち、顕微鏡下で同定した1つのGFP標識GnRH1ニューロンからの自発的な神経活動を記録することに世界で初めて成功した。メダカのGnRH1ニューロンは一見不規則に見える発火パターンを示したが、一日の様々な時間帯でメダカから脳を取り出して神経活動を調べると、GnRH1ニューロンの発火活動は午前中に低く保たれており、夕方から夜にかけて発火頻度が上昇するという日内変動を示すことがわかった。次にGnRH1ニューロンにより制御される脳下垂体の生殖腺刺激ホルモン(LH・FSH)の遺伝子発現を調べたところ、こちらも発現量に日内変動を示すことが明らかになった。これらの結果より、メダカでは1)何らかの神経入力を受けてGnRH1ニューロンの発火活動が一日の夕方の時間帯に高まり、これによりGnRH1ニューロンからGnRHペプチドが放出されて脳下垂体に作用する、2)GnRHが脳下垂体に作用してLH放出を引き起こす、3)GnRHは数時間後にLHの遺伝子発現を高め、脳下垂体細胞にLHを作らせる。こうした過程によりGnRHペプチドは、GnRH1ニューロンの発火頻度が高まる夕方の時間帯に大量に放出されて脳下垂体に作用し、素早くLHを大量放出させることにより排卵を引き起こす。同時に、GnRHは数時間後にLHの遺伝子発現を上昇させるように作用して翌日の大量放出のためのストックとなるLHを合成する、という機構が強く示唆された。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/20247005.ja.html
ID情報
  • 課題番号 : 20247005