2008年
「仮説検証型の問題志向の討論」を導入したグループの協同学習における概念変化過程の事例的検討
教授学習心理学研究
- ,
- ,
- ,
- 巻
- 4
- 号
- 1
- 開始ページ
- 17
- 終了ページ
- 28
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.20629/japtl.4.1_17
- 出版者・発行元
- 日本教授学習心理学会
本研究では,小学校6年の理科「水溶液の性質」の単元において,「仮説検証型の問題志向の討論」を組み込んだ理科授業の教授効果を,事前・事後テストの質問紙における概念変化の観点から検討した。加えて,小グループの協同学習における実験場面を観察し,授業過程において,具体的にどのようなプロセスを経て自らの思考を変化させていくのかを明らかにすることで,授業前後の概念変化と授業過程における相互作用との関連について検討を行った。その具体的な手続きとしては,グループ活動の特定の文脈における理解プロセスに焦点を当てて,Transactive Discussion(Berkowitz & Gibbs, 1983)の分析を手がかりに,個々の場面の発話や行為の生成の意味を微視発生的に解釈した。これらの量的・質的分析の両側面の結果から,新たに以下の現象が浮き彫りにされた。(1)仮説の検証過程では,児童が自発的にメンバー間の不完全な発話をオーバーラッピングし,統合しながら繋いでいく行為が出現し,そのプロセスにおいて科学的概念が協同構築されていった。(2)事後テストでは,授業過程においてグループのメンバーから精緻化されたり,矛盾を指摘されたりした内容が,主体的に個人内の知識に意味づけられる形で取り込まれていることが確認された。
- リンク情報
- ID情報
-
- DOI : 10.20629/japtl.4.1_17
- ISSN : 1880-0718
- CiNii Articles ID : 110008729875
- CiNii Books ID : AA12040493