2008年7月
肉腫型胸膜悪性中皮腫の1例
日本臨床細胞学会雑誌
- ,
- ,
- ,
- ,
- ,
- ,
- 巻
- 47:301-305
- 号
- 4
- 開始ページ
- 301
- 終了ページ
- 305
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.5795/jjscc.47.301
- 出版者・発行元
- 特定非営利活動法人日本臨床細胞学会
背景:肉腫型中皮腫は,腫傷細胞が体腔液へ出現することが少なく細胞診での診断は困難な場合が多い.今回われわれは,胸水中に少数出現した肉腫型中皮腫細胞を指摘できた1例を報告する.症例:77歳,男性.アスベストの暴露歴があり,胸部CTで悪性中皮腫が強く疑われ,胸水細胞診で悪性の疑いと推定された.胸腔鏡下胸膜生検組織で肉腫型悪性中皮腫と診断され,約1ヵ月後に呼吸不全で死亡した.胸水細胞診では,リンパ球が多い背景に,N/C比が大きく,核小体が明瞭で,中心性に位置する核と厚い細胞質をもつ大型異型細胞が孤在性に認められた.生検組織では,核小体が目立つ水泡状核と好酸性細胞質からなる紡錘形から類円形の細胞が,線維性間質を豊富に伴い浸滑性に増殖していた.免疫組織化学では,cytokeratin (CAM5.2), calretinin, D2-40, thrombomodulin, CD44sが陽性であった.結論:肉腫型中皮腫細胞を,細胞像のみから各種の肉腫,肺大細胞癌あるいは多形癌細胞と鑑別することは困難である.肉腫型中皮膜の診断には,細胞診,胸膜生検およびそれらの免疫染色に加えて,画像所見を含む臨床情報を合わせた総合的な判断が必要である.
- リンク情報
- ID情報
-
- DOI : 10.5795/jjscc.47.301
- ISSN : 0387-1193
- CiNii Articles ID : 110006863543
- CiNii Books ID : AN00198721