講演・口頭発表等

国際会議
2018年11月22日

日本のネイチャーライティングと作家たち

中国日語教学研究会2018年度学術大会
  • 野田研一

記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(招待・特別)
主催者
中国日語教学研究会
開催地
中国広東省広州市広東外語外貿大学

1 ネイチャーライティングというジャンル
基本要素:ネイチャーライティングとは何も自己の自然体験を語るだけの世界ではない。むしろ、経験的事実を媒介とし て、他者としての自然が語り始める回路を開く試みとして重要なのである
①自然との遭遇・接触・交感
②経験・実体験に基づく(実話、経験談、虚構ではない)
2 ネイチャーライティングとノンフィクション性
基本的定義: Nonfiction essay on nature
特徴:事実をめぐって客観と主観が混淆する
1)客観性(自然科学的知)と主観性(文学的感性)の複合体である。⇒客観的事実に対する主観的反応
2)ノンフィクション(実話、実体験)であること。(フィクションではない)⇒経験的事実を基軸とする。
経験の直接性と他者との遭遇
■自然(現象)との遭遇において衝撃的な出来事。その対象化・言語化を試みるプロセス
■自然(現象)が書き手の日常や人間的経験の地平を超えた出来事として出現する
■書き手がその出来事に根源的な異質性・他者性を見いだしている。

3 交感の文学
①基本パターン 移動⇒遭遇⇒交感⇒内省(脱人間中心主義)
②何に出遭うのか?
4 作品2編
①石牟礼道子「大廻りの塘(うまわりのとも)」
(『椿の海の記』一部) 変身譚
②小池昌代「川辺の寝台」
( 『黒雲の下で卵をあたためる』所収) 都市の異界