2012年9月15日
明るい銃後のミュージカル映画――マキノ正博『ハナ子さん』について
平成24年度岐阜大学公開講座/地域科学部企画「戦争と平和を考えるIV」
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
- 主催者
- 岐阜大学地域科学部
マキノ正博監督の『ハナ子さん』(1943[昭和18]年)は不思議な映画である。主人公のハナ子さん(轟夕起子)が夫の五郎さん(灰田勝彦)を戦場へ送り出す悲愴な物語でありながら、終始一貫して「お使いは自転車に乗って」などの陽気な歌と、米国製ミュージカル映画に影響された華やかなダンスと、『サザエさん』を思わせる無邪気な笑いに満ちているのだ。この講義では、かわいいけれどグロテスクな映画『ハナ子さん』を通して、庶民が否応無しに戦争に協力せざるをえない状況に巻き込まれていくやり切れなさを追体験してもらった。