1995年 - 1997年
日本と東南アジアにおける「里山」利用の展開に関する比較史研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
本研究の課題は、近代化の過程で森林利用の高度化と保全を形成したわが国の利用過程の社会経済的機構と、「里山」利用が森林破壊に帰結した東南アジア諸国の社会経済的機構を、経済学的、社会学的、歴史学的に比較研究することにある。
こうした課題に接近するため以下の諸点について分析・考察した。(1)18世紀前半にその主要部分が成立した琉球王国の山林書「林政八書」の成立の背景、著者、内容、意義について明らかにした。(2)近代における里山利用の一形態として人工林経営がある。閉鎖的経済と開放的経済の展開という視点から、近代日本の森林経営とくに人工林経営がある。閉鎖的経済と開放的経済の展開という視点から、近代日本の森林経営とくに人工林経営の形成に関する歴史的条件とその限界を検討した。(3)近世の日本において里山の中心的な部分であった入会林野の解体過程について整序した。(4)岩手県北上山地において、1960年代まで続けられていた焼畑がどのように行われ、またどのように衰退していったかを、焼畑を実際に行った本人からの聞き取り調査を中心に明かにした。(5)1970年代半ば以降の社会林業政策の展開と地域住民による里山の利用状況からフィリピンにおける社会林業の課題や今後の方向性について考察した。(6)1980年代後半からのタイ経済の高度成長に伴い農村・農業も大きく変容し、とくに注目されるのは農地造林の急速な展開である。タイにおける農地造林の現状を農家林家、木材市場、種苗生産者の3つの観点から考察した。
これらの分析の結果、わが国と東南アジア諸国の間にみられる現状の格差は、土地所有の近代化、里山の農業的利用・エネルギー源としての利用、近代的木材産業と木材市場の形成の歴史的発展段階に規定された構造的なものであることが明らかとなった。
こうした課題に接近するため以下の諸点について分析・考察した。(1)18世紀前半にその主要部分が成立した琉球王国の山林書「林政八書」の成立の背景、著者、内容、意義について明らかにした。(2)近代における里山利用の一形態として人工林経営がある。閉鎖的経済と開放的経済の展開という視点から、近代日本の森林経営とくに人工林経営がある。閉鎖的経済と開放的経済の展開という視点から、近代日本の森林経営とくに人工林経営の形成に関する歴史的条件とその限界を検討した。(3)近世の日本において里山の中心的な部分であった入会林野の解体過程について整序した。(4)岩手県北上山地において、1960年代まで続けられていた焼畑がどのように行われ、またどのように衰退していったかを、焼畑を実際に行った本人からの聞き取り調査を中心に明かにした。(5)1970年代半ば以降の社会林業政策の展開と地域住民による里山の利用状況からフィリピンにおける社会林業の課題や今後の方向性について考察した。(6)1980年代後半からのタイ経済の高度成長に伴い農村・農業も大きく変容し、とくに注目されるのは農地造林の急速な展開である。タイにおける農地造林の現状を農家林家、木材市場、種苗生産者の3つの観点から考察した。
これらの分析の結果、わが国と東南アジア諸国の間にみられる現状の格差は、土地所有の近代化、里山の農業的利用・エネルギー源としての利用、近代的木材産業と木材市場の形成の歴史的発展段階に規定された構造的なものであることが明らかとなった。
- ID情報
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- 課題番号 : 07306007
- 体系的課題番号 : JP07306007