共同研究・競争的資金等の研究課題

1999年 - 2000年

傾斜構造固体電解質型燃料電池の水溶液合成

文部科学省  科学研究費補助金(基盤研究(B))  基盤研究(B)

課題番号
11480118
体系的課題番号
JP11480118
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
10,900,000円
(直接経費)
10,900,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

固体電解質型燃料電池の実用化のためには、広い表面積、低い電気抵抗、軽量・コンパクトな多層構造等を実現する必要があり、セラミックス材料を薄膜の形態で使用することが重要である。従来のCVD法やスパッタ法、あるいはゾル-ゲル法に対し、水溶液からの合成法は、均質性に優れ、大面積で複雑な形状を有する薄膜の作成が可能であり、また、加熱過程を必要としないため膜の変形や亀裂の恐れが無く、更に高価で特殊な装置を使用しないため、製造コストも低く押さえることができる等の特長を有する。この水溶液合成法の特徴を生かし、製膜中に水溶液成分を変化させることにより、傾斜構造をもった電池を作製し、熱膨張を連続的に変化させることにより、熱応力の問題が解決すると考えられる。金属フルオロ錯体溶液にフッ化物イオンと安定な錯体を形成するホウ酸を加えることにより、フルオロ錯体の加水分解反応が進行した。この反応により、電解質ならびに電極の材料となるジルコニア及びランタン遷移金属系ペロブスカイト型酸化物を水溶液から合成することが可能となった。バキュームグローブボックスを購入してその中で合成を行い、空気中の酸素の影響を取り除き、精密な材料制御を行った。LB膜作製装置を購入し、基板表面を精密に制御した合成を可能とした。反応機構を解析した結果、種結晶の存在ならびにその粒径や分散状態が、水溶液合成に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。水溶液からの合成により常温・常圧下で、電解質であるYSZ基板上に電極材料であるLaMnO_3を高分散で均一に積層させることが可能であった。YSZの部分的な溶出とLaMnO_3の析出とが同時に進行していることが想像され、両相が混合しながら移行する傾斜構造が作製できる可能性が示された。傾斜構造をとることにより、熱応力の問題を解決できると期待される。また、析出粒子の表面には、多数の凹凸があり、電極として非常に反応性の高いことが推察される。

リンク情報
URL
http://kaken.nii.ac.jp/d/p/11480118.ja.html
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-11480118
ID情報
  • 課題番号 : 11480118
  • 体系的課題番号 : JP11480118