2012年
カンカオウトウにおけるS-RNase結合花粉タンパク質候補としてのアクチンホモログの単離
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
- ,
- 巻
- 81
- 号
- 1
- 開始ページ
- 41
- 終了ページ
- 47
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- DOI
- 10.2503/jjshs1.81.41
- 出版者・発行元
- 一般社団法人 園芸学会
バラ科植物の多くは S-RNase 依存性自家不和合性(SI)機構を有している.バラ科サクラ属果樹における不和合性機構における雌ずい側および花粉側の反応特異性はそれぞれ S-RNase と SFB/SLF(F-box タンパク質)が担っているが,これら不和合性反応の特異性決定因子に加え,自家不和合性共通因子が自家不和合反応に必要であることが知られている.本研究ではバラ科サクラ属における共通因子の単離を目的として,カンカオウトウ(Prunus avium L.)S6-RNase の N 末部分配列および C 末配列をベイトとした花粉 cDNA ライブラリーの酵母ツーハイブリッド(Y2H)スクリーニングを行った.Y2H スクリーニングの結果アクチンホモログ(PavAct1)を含む 31 の候補遺伝子が得られた.T2/S-type の RNase の中には,RNASET2 や ACTIBIND 等のようにアクチンと結合することで細胞毒性を発揮すると考えられているものが存在するため,PavAct1 と S-RNase の相互作用を in vitro 実験により詳細に調査した.GST プルダウンアッセイにより,組換え GST-PavAct1 は非還元の S-RNase とは相互作用を示さないものの,還元処理をした S-RNase とは相互作用をすることが確認された.ウサギ骨格アクチンを用いた多量体アクチン(F-Act)共分離実験および 1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl) carbodiimide hydrochloride(EDC)クロスリンク実験により,還元処理した S-RNase は F-Act,単量体アクチン(G-Act)のいずれとも相互作用することが明らかとなった.本結果は,サクラ属の自家不和合反応において,花粉管細胞質の還元的環境に曝された S-RNase がアクチンと結合し正常なアクチン動態を乱し,花粉管伸長に影響を与える可能性を提示するものであった.<br>
- リンク情報
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- DOI
- https://doi.org/10.2503/jjshs1.81.41
- J-GLOBAL
- https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201202256636746837
- CiNii Articles
- http://ci.nii.ac.jp/naid/130004510740
- Web of Science
- https://gateway.webofknowledge.com/gateway/Gateway.cgi?GWVersion=2&SrcAuth=JSTA_CEL&SrcApp=J_Gate_JST&DestLinkType=FullRecord&KeyUT=WOS:000299362500006&DestApp=WOS_CPL
- ID情報
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- DOI : 10.2503/jjshs1.81.41
- ISSN : 1882-3351
- eISSN : 1880-358X
- J-Global ID : 201202256636746837
- CiNii Articles ID : 130004510740
- Web of Science ID : WOS:000299362500006