共同研究・競争的資金等の研究課題

2000年 - 2002年

疑似血流とリンパ流を具備した疎水性物質用腸管吸収モデルの構築

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
12460057
体系的課題番号
JP12460057
配分額
(総額)
15,500,000円
(直接経費)
15,500,000円

疎水性物質は、生体では腸管から血液あるいはリンパ液に吸収される。この生体での吸収過程と比較できるような簡便な腸管モデルとして、腸管上皮様に分化する培養細胞層を用いて血流とリンパ流を独立に制御できるモデルの確立を目的として研究を行った。研究期間を通じて疎水性物質の細胞層透過様式の解析に最も力を注いだ。その過程で、疎水性物質が細胞層を透過する際に疎水度の高い物質が細胞層に蓄積しやすいこと、消化分解酵素に分解されやすい疎水性物質でも電荷を有するならば、相補する電荷を有する疎水性物質を用いることで両物質間の静電的な相互作用を促し、細胞内酵素による分解を免れ透過吸収量を向上させることができることを見出した。また、抗酸化作用を示す疎水性物質・アスコルビン酸脂肪酸エステルの細胞層透過吸収様式を非酵素的な分解過程も含めて詳細に解析し、さらに同物質を作用させた腸管吸収細胞Caco-2は、腸管側からの酸化剤に対して強い抗酸化能を獲得することを明らかにした。
モデル構築のために必要な様々な条件を検討し、疑似リンパ液成分として有効な成分の選定、疎水性物質を親水性溶液(血液に相当)から疎水性溶液(リンパ液に相当)に透過し易いメンブランフィルターの選定した。また、血漿側のコンパートメントへの溶液の流入流出量をペリスターポンプで制御できることを確認し、小コンパートメントの完全混合のための攪拌条件を決定した。
これら全ての知見を用いることで、腸管モデルの構築の可能性を示すことができた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-12460057
ID情報
  • 課題番号 : 12460057
  • 体系的課題番号 : JP12460057