2019年4月 - 2024年3月
アミロイドβの毒性オリゴマー特異抗体による超早期のアルツハイマー病診断
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
- 課題番号
- 19H00921
- 体系的課題番号
- JP19H00921
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
-
- (総額)
- 44,720,000円
- (直接経費)
- 34,400,000円
- (間接経費)
- 10,320,000円
- 資金種別
- 競争的資金
アルツハイマー病(AD)の発症において重要な役割を果たしているアミロドβタンパク質(Aβ)は、凝集(オリゴマー化)により神経細胞毒性を示す。本研究代表者らは、Aβ42が中央部分で折れ曲がることにより毒性オリゴマーを形成するという「毒性配座理論」を提唱し、本理論により開発した抗毒性ターン抗体(11A1及び24B3)は、AD診断において一定の成功を収めた。しかしながら、生体内に存在しないE22P-Aβ1-34を抗原として作製した抗体であることから、感度及び特異性の点で改善が必要であるうえ、これらの抗体が認識する毒性オリゴマーの高次構造も不明である。
昨年度、Leu17とLys28をそれぞれシステイン残基で置換し、DMSO酸化によって分子内架橋したAβ42誘導体(L17,K28-S-S-Aβ42)が、E22P-Aβ42と同等以上の神経細胞毒性を示すとともに、1 μM以下の低濃度でオリゴマーとして長時間存在することを明らかにした。そこで、L17,K28-S-S-Aβ42をマウスに免疫し、L17,K28-S-S-Aβ42に対して強く結合する一方で、野生型Aβ42に対する結合能をほとんど示さない抗体をスクリーニングした。得られた10A1抗体は、AD患者の脳切片中のAβ凝集体を強く認識したが、その結合は野生型Aβ42ならびにE22P-Aβ42を加えてもほとんどキャンセルされなかった。また、10A1のFabドメインとL17,K28-S-S-Aβ15-30との共結晶のX線構造解析により、22, 23位を中心としたターン構造が10A1によって認識されていることが判明した。
さらに、Aβの3量体モデル(プロペラ型、平行βシート型)を作製する上で必要な各種リンカー(アルキル架橋trisアミノ酸リンカー)の合成に成功した。
昨年度、Leu17とLys28をそれぞれシステイン残基で置換し、DMSO酸化によって分子内架橋したAβ42誘導体(L17,K28-S-S-Aβ42)が、E22P-Aβ42と同等以上の神経細胞毒性を示すとともに、1 μM以下の低濃度でオリゴマーとして長時間存在することを明らかにした。そこで、L17,K28-S-S-Aβ42をマウスに免疫し、L17,K28-S-S-Aβ42に対して強く結合する一方で、野生型Aβ42に対する結合能をほとんど示さない抗体をスクリーニングした。得られた10A1抗体は、AD患者の脳切片中のAβ凝集体を強く認識したが、その結合は野生型Aβ42ならびにE22P-Aβ42を加えてもほとんどキャンセルされなかった。また、10A1のFabドメインとL17,K28-S-S-Aβ15-30との共結晶のX線構造解析により、22, 23位を中心としたターン構造が10A1によって認識されていることが判明した。
さらに、Aβの3量体モデル(プロペラ型、平行βシート型)を作製する上で必要な各種リンカー(アルキル架橋trisアミノ酸リンカー)の合成に成功した。
- ID情報
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- 課題番号 : 19H00921
- 体系的課題番号 : JP19H00921
この研究課題の成果一覧
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論文
11-
Organic and Biomolecular Chemistry 22(3) 411-428 2024年1月 査読有り最終著者責任著者
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ACS Chemical Neuroscience 13(19) 2913-2923 2022年9月 査読有り最終著者責任著者
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Synthesis and Characterization of Propeller- and Parallel-Type Full-Length Amyloid β40 Trimer ModelsACS Chemical Neuroscience 13(16) 2517-2528 2022年8月 査読有り最終著者責任著者
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Biochemical and Biophysical Research Communications 621 162-167 2022年7月 査読有り最終著者責任著者
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ChemBioChem 23 e202200029 2022年2月 査読有り最終著者責任著者
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ACS Chemical Neuroscience 12(18) 3418-3432 2021年8月 査読有り
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European Journal of Organic Chemistry 1370-1377 2021年3月5日 査読有り最終著者責任著者
-
Toxic Amyloid-β42 Conformer May Accelerate the Onset of Alzheimer’s Disease in the Preclinical StageJournal of Alzheimer's Disease 80(2) 639-646 2021年2月9日 査読有り
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 84(1) 1-16 2020年1月2日 査読有り筆頭著者責任著者
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Chemical Communications 56(29) 4118-4121 2020年 査読有り最終著者責任著者
MISC
13-
第65回天然有機化合物討論会、東京大学安田講堂(東京) 2023年9月 査読有り筆頭著者責任著者
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2023年度日本農芸化学会大会(広島)オンライン開催 2023年3月 最終著者責任著者
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第41回日本認知症学会学術集会、第37回日本老年精神医学会(合同開催) 2022年11月 最終著者責任著者
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第41回日本認知症学会学術集会、第37回日本老年精神医学会(合同開催) 2022年11月 最終著者責任著者
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第63回日本神経病理学会総会学術研究会 2022年6月
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2022年度日本農芸化学会大会(京都)、オンライン開催 2022年3月 最終著者責任著者
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2022年度日本農芸化学会大会(京都)、オンライン開催 2022年3月 最終著者責任著者
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2021年度日本農芸化学会大会(オンライン) 2021年3月 最終著者責任著者
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日本農芸化学会関西支部例会(第514回講演会)オンライン 2021年2月 最終著者責任著者
書籍等出版物
1-
医歯薬出版 2023年12月
講演・口頭発表等
3-
6th International Symposium of Kyoto Biomolecular Mass Spectrometry Society (Doshisha University) 2023年1月31日 招待有り
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第11回日本認知症予防学会学術集会(福岡国際会議場、福岡市) 2022年9月24日 招待有り
-
Visionary農芸化学100シンポジウム、食品機能研究領域第3回シンポジウム「認知症の予防で、老後の生活を豊かに」(京都大学 益川ホール) 2022年9月9日 招待有り