2020年6月
塩基性線維芽細胞増殖因子 (FGF-2) 製剤を用いた歯周組織再生療法の治療成績
日本歯科保存学雑誌
- 巻
- 63
- 号
- 3
- 開始ページ
- 219
- 終了ページ
- 227
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.11471/shikahozon.63.219
- 出版者・発行元
- 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
<p> 目的 : 2016年12月に, 塩基性線維芽細胞増殖因子 (FGF-2) を有効成分とする歯周組織再生剤リグロス (科研製薬) が上市された. 本研究では, 大阪大学歯学部附属病院 (口腔治療・歯周科) にて実施したリグロスを用いた歯周組織再生療法の治療成績を評価した.</p><p> 材料と方法 : 大阪大学歯学部附属病院口腔治療・歯周科にて辺縁性歯周炎と診断され, フラップ手術時にリグロスを投与された患者94名 (男性28名, 女性66名) の131歯 (140部位) を対象とした. 患者には, 通法に従い歯周基本治療を実施した後, フラップ手術 (リグロス投与) を行い, サポーティブペリオドンタルセラピー (SPT) またはメインテナンスに移行した. 被験部位は, リグロスの適応症とされるプロービングデプス (PD) 4mm以上および骨欠損深さ3mm以上の垂直性骨欠損を有する部位である. 本研究では, リグロス投与前後の被験歯の動揺度, 被験部位のPDおよびプロービング時の出血 (BOP) に加え, デンタルX線写真における新生骨増加率を計測し, リグロスの治療効果を評価した.</p><p> 成績 : 被験部位におけるPDは, 術前で平均6.00±1.50mmであったが, 術後3~5カ月で平均3.81±1.31mm, 術後9カ月以降で3.54±1.07mmと減少した. BOPは, 術前では被験部位の70%に認められたが, 術後3~5カ月では約20%に減少し, それ以降も低値を維持した. また, 新生骨増加率は, 術後3~5カ月では平均24.4±24.5%, 術後6~8カ月では平均35.7±24.3%, 術後9カ月以降では平均49.4±27.6%と経時的に増加した.</p><p> 結論 : 本研究において, リグロスの開発段階での第Ⅲ相臨床試験 (治験) の結果と同等以上のリグロスの歯周組織再生効果が確認された.</p>
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- ID情報
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- DOI : 10.11471/shikahozon.63.219
- ISSN : 0387-2343
- CiNii Articles ID : 130007871208