共同研究・競争的資金等の研究課題

2003年 - 2005年

リスク管理における集権化と分権化の経済分析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)
  • 田淵 隆俊
  • ,
  • 吉川 洋
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  • 井堀 利宏
  • ,
  • 八田 達夫
  • ,
  • 柴田 弘文

課題番号
15203014
体系的課題番号
JP15203014
配分額
(総額)
38,350,000円
(直接経費)
29,500,000円
(間接経費)
8,850,000円

本研究では集権化と分権化社会におけるリスク管理のあり方について、理論的、実証的な研究を行った。さらに、内生的に発生するリスクを適切に管理する政策のあり方についても、マクロの財政金融政策、社会保障制度改革、地方分権下での地域経済への対応政策などを中心として、理論的、実証的に分析を進めた。そして、各国の地域経済政策、再分配政策、社会保障制度の現状について、主として、利害関係者間での再分配制度の評価という視点から、国際的に調査と研究も行った。同時に、政治経済学の成果を利用して、集権化と分権化社会における意思決定のあり方を理論的に整理して、リスク管理のあるべきシステムを考察した。とくに、日米欧間の国際的な相互依存関係を中心として、リスク管理のための多国間調整メカニズムのあるべき姿の政策分析を行った。より具体的には、経済統合に際して、防衛費、援助費、地球温暖化対策支出などの国際公共財の分担や政策、制度の調整についてこれまでの実証的な研究結果を整理するとともに、本研究の理論的枠組みから得られる政策提言の分析結果をまとめた。
本研究の成果はさまざまな国際学会での報告、発表や国際的な学術雑誌への公刊論文や英文による専門的な本の出版などにより広く関連する学会関係者に公開されている。なかでも、本研究における1つの重要な政策的含意は、地球温暖化対策などの国際公共財供給における受益と負担の関係について、これまでの標準的な予想とは異なる結果を得たことにある。すなわち、途上国に所得移転をすることで途上国の国際公共財供給を促進させようとしても、その分だけ先進国の負の所得効果によって先進国での国際公共財供給が停滞すれば、世界全体の経済厚生にプラスにならない可能性が示された。また、リスク管理のあり方として、リスク自体を軽減する対応とリスクの発生する際のコストを軽減する対応では、長期的に異なる結果になることが示された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15203014
ID情報
  • 課題番号 : 15203014
  • 体系的課題番号 : JP15203014