共同研究・競争的資金等の研究課題

1998年4月 - 1999年3月

不飽和有機ケイ素イオン-分子反応におけるd電子効果の分子論的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特定領域研究(A)  特定領域研究(A)

課題番号
10133232
体系的課題番号
JP10133232
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
2,000,000円
(直接経費)
2,000,000円

ケイ素原子との間に多重結合をもつ化合物は不安定であるため,溶液反応では単離することが困難である。しかし,真空下でシラシクロブタンやシラシクロブタジエン誘導体をイオン化すれば,生成した分子イオンの単分子分解によって,SiC二重または三重結合をもつイオンの生成が期待される。本研究の目的は,SiC多重結合をもう不飽和ケイ素イオンを質量分析計中で生成させ,その構造と反応性を確かめることである。1-silacyclobut-3-ene誘導体をイオン化することによって,シラシクロブタジエン誘導体イオンを生成させ,そのイオンの構造をMS/MS法によって解析した。
2-adamanty1-4-tert-buty1-2-trimethylsiloxy-1,1-bis(trimethylsilyl)-1-silacyclobut-3-eneの分子イオンのMS/MSでは,TMS脱離,tert-butyl脱離,および(TMS)_2O脱離によるピークが観測された。フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT-ICR)装置によって,m/z 330のフラグメントイオンの精密質量を測定した結果,その化学組成はC_<20>H_<34>Si_2^<+・>であり,分子イオンからの(TMS)_2O脱離によって生成したSiC二重結合をもつシラシクロブタジエン誘導体イオンであると考えられた。
イオン化室内で生成したフラグメントイオン[M-(TMS)_2O]^<+・>のみを選択し,このイオンからの分解反応を,4セクター型タンデム質量分析計およびFT-ICR装置を用いて確かめた。[M-(TMS)_2O]^<+・>からのMS/MSでは,CH_3脱離やC_3H_5脱離によるピークのほか,m/z 249にピークが観測された。FT-ICR装置を用いた精密質量測定の結果,m/z 249イオンの化学組成はC_<14>H_<25>Si_2^+であり,[TMS-SiC-Ad]にプロトン付加したイオンであると予想された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-10133232
ID情報
  • 課題番号 : 10133232
  • 体系的課題番号 : JP10133232