2020年
生体腎移植後に急性浸潤性の再燃を呈した副鼻腔真菌症の1例
移植
- 巻
- 55
- 号
- 開始ページ
- 387_3
- 終了ページ
- 387_3
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.11386/jst.55.Supplement_387_3
- 出版者・発行元
- 一般社団法人 日本移植学会
<p>症例は65歳男性。糖尿病性腎症による末期腎不全に対する腎移植術前CTにて右蝶形骨洞に真菌を疑う軟部影を認めたが、無症候性であった。しかしながら、移植後の免疫抑制状態で劇症型になる可能性を考慮し、移植3カ月前に内視鏡下副鼻腔手術ESSにて糸状菌塊を除去(粘膜への真菌浸潤なし)、追加治療することなく経過は安定していた。 生体腎移植については妻をドナーとしたABO不適合(術前減感作療法としてRituximab 200mg/body×1、DFPP×2、PE×1を実施、免疫抑制剤はTac-ER、MMF、PSL、Basiliximabを使用)、経過は良好でPOD18に退院となった( Cr 1.28mg/dl )。 移植後2カ月が経過し、右顔面痛・頭痛が出現、近医で副鼻腔洗浄や抗菌薬投与を受けるも改善せず。β-Dグルカン 53pg/mlと異常高値、副鼻腔MRIでは一部骨への浸潤を疑う軟部影を認め、再度ESSを施行、紙様板は腐骨化を認めたが真菌塊を可及的に除去した。VRCZも併用・継続し、術後1カ月でβ-Dグルカンも正常化、現在、再燃を認めていない。 浸潤性副鼻腔真菌症は副鼻腔から眼窩,海綿状静脈洞,頭蓋内へ浸潤し致死的となり、全生存率は概ね50%と、予後不良とされる。今回、予防的にESSを先行したが、腎移植後、急性浸潤性に再燃した症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 </p>
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.11386/jst.55.Supplement_387_3
- ISSN : 0578-7947
- CiNii Articles ID : 130008090273