共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

準安定βチタン合金の変形双晶に基づく多軸応力下塑性加工性向上機構の解明と定式化

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K03857
体系的課題番号
JP18K03857
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

本研究は,二元系準安定βチタン合金において,特定範囲の添加元素割合で活動する変形双晶に着目し,添加元素量や負荷様式がその活動に及ぼす影響を理解するとともに,多軸応力下において変形双晶がもたらす塑性加工性向上機構の解明を目指して行うものである.
2019年度は2年目として,まず,変形双晶が活動しやすいTi-14mass%Mo合金を中心組成として用意した数種類のTi-Mo合金に対し,溶体化焼入れ処理条件について検討を行うとともに,予備圧縮試験によって基礎的な力学的性質を取得した.同時に,走査型電子顕微鏡を用いた結晶学的方位解析を実施した.その結果,本研究に適した共通の熱処理条件として950℃30分保持氷水焼入れを選択し,Mo添加量によって異なる力学的性質について基礎となる結果を得た.また,Ti-14Mo合金を中心に,塑性変形の進行に伴う変形双晶の活動を確認した.
次に,各Ti-Mo合金素材から直方体形状の試験片を切り出し,前年度に整備した二軸圧縮試験装置を用いて単軸および二軸圧縮試験を実施した.その際,素材が有する塑性異方性にも配慮した.得られた力学的特性と結晶学的方位解析結果から,変形双晶の活動が合金組成に依存すること,活動した双晶の割合によって後続のすべり変形時における流れ応力が変化すること,圧縮変形様式が変形双晶の活動に少なからず影響すること,等の新たな知見を得た.
以上の検討に加え,各Ti-Mo合金に対して引張りを含む各種力学的試験を適用し,総合的な冷間加工性評価を行った.本研究の主対象である変形双晶がもたらす力学的特徴に着眼して調べた結果,条件によっては体心立方構造であるβ型Ti合金よりも優れた冷間加工性をもたらす可能性が確認された.この内容については学会にて公表している.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K03857
ID情報
  • 課題番号 : 18K03857
  • 体系的課題番号 : JP18K03857