共同研究・競争的資金等の研究課題

2006年 - 2007年

唾液核に対する興奮性入力の解析-グルタミン酸バイオセンサーによる行動学的測定法一

日本学術振興会  科学研究費助成事業 萌芽研究  萌芽研究

課題番号
18659552
体系的課題番号
JP18659552
配分額
(総額)
3,300,000円
(直接経費)
3,300,000円

唾液分泌の神経制御は、脳幹部における反射と上位中枢からの下行性制御に区分して論じられている。本研究では、特に摂食行動に関係の深い上位中枢(視床下部外側野、大脳皮質味覚野と咀嚼野)からの興奮性入力(グルタミン酸作働性)を動物実験により検討する。具体的には唾液分泌の副交感神経中枢である上唾液核細胞に対する上位中枢からの興奮性入力量とそれに伴う唾液分泌動態を分析する。とくに本実験計画では、興奮性入力量をグルタミン酸バイオセンサーを用いて解析する。本年度は、1.グルタミン酸バイオセンサーを急性実験と慢性実験に適用した。2.免疫組織学的に上位中枢の興奮性細胞と抑制性細胞を染色した。3.脳スライス標本で唾液核への入力を電気生理学的に検索した。
1.麻酔下動物(Wistar系雄性ラット)にて、口腔領域の味覚刺激によって唾液分泌を誘発した。同時に上唾液核のグルタミン酸変動をグルタミン酸バイオセンサーで観察し、定量的に解析した。その結果、グルタミン酸バイオセンサーの変動は味覚刺激では小さかった。慢性実験では、とくに摂食行動中に変動が大きく、摂食に関連する中枢(視床下部外側野、扁桃体)の影響が大きいことが示唆された。
2.免疫組織学的実験により、上唾液核に入力する神経を検索した。その結果、上位中枢(視床下部外側野、扁桃体、大脳皮質味覚野と咀嚼野)には興奮性細胞(グルタミン酸作働性)が多数存在し、抑制性細胞は極めて少数であることが分かった。
3.電気生理学的に、上唾液核細胞は興奮性と抑制性の入力を受けるが、両者はともに大きな膜電流の変化を発生させた。これは基本的に脳幹部に抑制性神経が多く存在することを示唆するものであった。
以上の結果より、上唾液核細胞は、摂食行動中に主に上位中枢からは興奮性入力を受け、抑制性入力は脳幹部の介在神経から受けることが示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18659552
ID情報
  • 課題番号 : 18659552
  • 体系的課題番号 : JP18659552