共同研究・競争的資金等の研究課題

1993年 - 1994年

摂食・飲水調節に関与する延髄A_2領域のドーパミン・ノルアドレナリンの動態(マイクロダイヤリシス法による分析)

日本学術振興会  科学研究費助成事業 一般研究(B)  一般研究(B)

課題番号
05454502
体系的課題番号
JP05454502
配分額
(総額)
5,700,000円
(直接経費)
5,700,000円

まず、胃伸展刺激に対して応答する弧束核ニューロンの生理学的特性を明らかにしようと試みた。一次感覚性ニューロンレベルでは、胃伸展刺激にたいして放電頻度が増加するもののみであるに関わらず、弧束核ニューロンでは放電頻度の減少するものが認められら。また、胃伸展刺激に対して応答するニューロンのあるものは、門脈内に注入したブドウ糖にたいしても応答し、放電頻度の減少するものが存在した。この種のニューロンは、ブドウ糖による満腹感の発生に関与するものと思われる。
最後野中のブドウ糖応答性ニューロンについて、新鮮脳スライス標本用いたin vitro実験から、従来われわれがin vivo実験で明らかにしてきたブドウ糖受容性ニューロンとブドウ糖感受性ニューロンの二つのタイプがたしかに最後野内に存在することを確認した。
これらのニューロンとは別に、CTZとしての役割を果たしていると思われるニューロンも存在し、ドーパミン作動性であることが分かった。マイクロダイヤリシス法により、この領域からドーパミンを検出することができたが、悪心を生じさせるような生理的な刺激に反応して変動するような事実を明らかにするまでにはいたらなかった。
高張食塩水を門脈に注入すると放電頻度の増加するニューロンが迷走神経背側運動核内に存在することが明らかとなった。門脈浸透圧受容性求心神経系で検出された情報は迷走神経背側運動核に伝達され、腸管からの電解質あるいは水の吸収を制御しているものと思われる。
迷走神経背側核中にもブドウ糖応答性ニューロン及び浸透圧受容性ニューロンが存在し、Fail safe機構として作動すると同時に脳幹レベルでの統合に重要な働きをすることが示唆された。
今回不幸にしてA2のドーパミンに変動が認められなかったが、実験方法を改良し、ノルアドレナリン、セロトニンなども指標にして引き続き研究を進める予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-05454502
ID情報
  • 課題番号 : 05454502
  • 体系的課題番号 : JP05454502