2014年
農村地域における小規模水道管理の持続可能性に関する研究:-フィリピン共和国農地改革インフラ支援事業を事例に-
農村計画学会誌
- ,
- ,
- 巻
- 33
- 号
- 0
- 開始ページ
- 305
- 終了ページ
- 310
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.2750/arp.33.305
- 出版者・発行元
- 農村計画学会
フィリピンでは,改善された水源へアクセスできる人口は2012年時点で全体の92%,農村部では91%いると言われている。しかしながら,急激な人口増加が水の汚染につながり,場所によっては地下水の枯渇が飲料水の需要と供給の不均衡を急速に広げている。豊富な水に恵まれる場所も存在するが,水不足の問題は広がってきている。特に農村部では,各戸給水は26%であり,65%は公共栓や井戸,雨水を使用し,残りの9%は改善されていない水源や表流水を使用している。農村給水に対するサポートは,維持管理を担当するセクターのキャパシティや権限が限られている。フィリピンの給水方法には,3つのレベルがあり,水道の管理形態は,民営化と分権化が進んでいる。しかし,農村では地域の参加や現地のキャパシティが欠如している。開発途上国における農村給水では水道組合を醸成し,受益住民自身による運営維持管理を前提とするのが一般的である。しかし,なかには給水施設の設置後,村のすべての人に水が行き渡らずに,村の有力者間の利害関係の対立が問題となることがある。地域社会で水道を管理するには,すべての人に水が行き渡ることを担保する仕組みやルールが必要である。生きていくために必要不可欠な飲料水を地域社会の小規模な範囲で,住民が持続的に管理していくことが可能なのかどうかが,当面の農村居住の持続性を大きく左右する。本研究では,地域社会の住民による水道管理における2点の課題に着目する。1点目は,地域社会における住民による水道管理は持続可能なのかどうか。2点目は,水道管理の方法によっては,水へのアクセスが困難になる住民が出てくるのではないか。供給範囲におけるすべての人に水を供給しつつ,住民管理が持続可能であるためには,水道管理の方法と,その評価手法を検討する必要がある。そのため,本研究では地域社会における水道管理の持続可能性の評価と,水道の財としての性質における排除性に着目する。管理手法の実態を明らかにすることで,地域社会におけるより良い水道管理の可能性と課題,必要な要因を考察することを目的とする。
- リンク情報
- ID情報
-
- DOI : 10.2750/arp.33.305
- ISSN : 0912-9731
- CiNii Articles ID : 130005110718
- CiNii Books ID : AN00386889