2016年
ドローン空撮映像を用いた農村景観の視点高ごとの印象評価:-景観特性に応じた効果的な情報発信に向けて-
農村計画学会誌
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- 巻
- 35
- 号
- 0
- 開始ページ
- 314
- 終了ページ
- 320
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.2750/arp.35.314
- 出版者・発行元
- 農村計画学会
農村情報を発信する際に,農業・農村の多面的機能の一端を提供し,重要な地域資源でもある農村景観は,視覚的に訴えやすく,近年広く普及しているソーシャル・メディア等により,写真や映像といった形式で簡易に発信できる環境が整ってきた。農村景観に関する研究は一定数存在し,構成要素,景観保全,個人属性による印象の差異に関する研究等が存在する。属性による印象の差異に関する研究は,性別,年齢,地域の内部者か否か等により,印象評価構造が異なることが指摘されている。また,景観を見る際の場である視点場や視線に関する研究は都市計画学や建築学を中心に蓄積があり,人間は仰角0度~30度,俯角8~10度を視認しやすく,ディスプレイには俯角0~30度が最適とされている。また,視点高が異なることで眺望景観の特徴が変化する,とあるように,景観を見る際に視点高は重要な要素である。近年,ドローンと呼ばれる無人航空機が一般にも普及し,農業,防災,運輸等で急速に活用され始めている。4K画質で撮影可能なドローンが10万円前後と比較的低価格で入手可能となりつつあり,ドローンを用いることで,必要な時に簡単に任意点からの景観映像を得ることが可能となった。ドローンによる空撮を通じて,これまで容易に収集できなかった様々な高度や角度による視点場からの農村景観を写真や映像の形で地域自ら収集し発信することで,都市部を含む地域外からの地域への印象や理解をこれまで以上に高める可能性が期待される。ドローン空撮により高い視点から得られた農村景観の写真や映像が与える印象構造の特性が個人属性ごとに把握されれば,地域をアピールする際に,景観特性や伝えたい印象に適したコンテンツを対象に向けて発信することが可能となる。しかし,農村景観撮影時の高度による印象の差異に着目した研究はほぼ行われていない。以上を踏まえて本研究では,農村景観を捉える際の視点場,とりわけ視点高に注目し,それらの違いにより,撮影された景観に対してどのような印象の差異が生じるのかを明らかにすることを目的とする。その際に,個人属性による印象の差異にも着目する。さらに,得られた結果を基に,農村地域から景観情報をコンテンツとして発信する際に考慮すべき点について,情報の受信対象として想定する個人属性別の提言を行う。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.2750/arp.35.314
- ISSN : 0912-9731
- CiNii Articles ID : 130006855668
- CiNii Books ID : AN00386889