共同研究・競争的資金等の研究課題

2005年 - 2007年

ソーシャル・キャピタル形成を基軸とした地域づくりモデルの構築

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
17380142
体系的課題番号
JP17380142
配分額
(総額)
13,610,000円
(直接経費)
13,100,000円
(間接経費)
510,000円

本研究の目的は、近年注目されているソーシャル・キャピタルの概念に注目し、高齢化社会に向けた新たな地域づくりモデルについて検討することである。この目的に基づき、ソーシャル・キャピタルの多寡(蓄積状況)とパフォーマンス(中山間地域等直接支払制度の運用、地域への定住、高齢者の健康等)との関連の分析、地域づくり活動によるソーシャル・キャピタルの形成の実証、そして、ソーシャル・キャピタルの蓄積状況を示す尺度の開発を行った。分析におけるデータは、和歌山県、兵庫県、新潟県、京都府におけるアンケート調査ならびにインタビューにより収集し、あわせて、愛知県内の既存データ(日本福祉大学AGESプロジェクトによる)も利用した。中でも、京都府における調査では1万人規模のデータを得た。分析にはマルチレベル分析等の統計的手法のほか、質的調査・分析法の一つであるグラウンデッドセオリーを用いた。調査・分析の結果、ソーシャル・キャピタルの多寡とパフォーマンスには一定の関連があること、ソーシャル・キャピタルは集落などの小地域内でもその多寡に差が有り、これがパフォーマンスに影響すること、地域づくり活動のもたらす外部との交流などがソーシャル・キャピタルの形成を促すことなどが明らかになった。また、本研究において開発したソーシャル・キャピタルの尺度(ISCI:Integrated Social Capital Index)を実際の事例(中山間地域等直接支払制度の集落協定締結状況)に当てはめて検討した結果、高い妥当性を持つことが実証された。以上の結果から、ソーシャル・キャピタルは高齢者の良好な健康状態に関連すると同時に、地域づくりのパフォーマンスにも関連していることが明らかになった。また、地域づくり活動によってソーシャル・キャピタルの形成が促進されることが示された。このことから、ソーシャル・キャピタルを機軸とした地域づくりは一定の有効性を持つと考えられる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17380142
ID情報
  • 課題番号 : 17380142
  • 体系的課題番号 : JP17380142