木梨 陽康
基本情報
- 所属
- 広島大学 (名誉教授)
- 学位
-
農学博士(1974年3月 東京大学)農学修士(1971年3月 東京大学)
- J-GLOBAL ID
- 200901027767959005
- researchmap会員ID
- 1000036890
自身のこれまでの研究について「化学と生物」56巻11号の巻頭言(p.707, 2018)に記したので、それをプロフィールに代えて再掲する。
放線菌の化学と生物学
8年前に広島大学を定年退職した後,1年間は非常勤講師として研究室に残り,その後4年間ほど博士課程留学生の実験の進展を大学の図書館でみてきたが,今は研究から全く離れている.それ故,最先端の研究を語る能力はないが自身の経験を記し,それが少しでも若い人たちの参考になれば幸いである.
私は東大応微研(分生研),理研,三菱生命研を通じて放線菌(理研では米ぬか)の生産する生理活性物質のスクリーニング,単離精製,構造決定に携わってきた.その結果,サリノマイシン,オーキシン(IAA)の酸化産物,コンカナマイシン等の化学構造を明らかにした.コンカナマイシンの18員環マクロライド構造を発表した後,この分野の権威である大村智先生にセミナーの講師をお願いした.セミナー後の懇親会でいろいろとお話したが.特に印象に残ったのは,先生が北里研究所と北里大学にわたって学部学生を含めると総勢100人近くのグループを率いていることだった.「補佐員と2人でスクリーニングをしていてはとてもかなわない.生命研にいるメリットを何とか生かせないか.」と考えるようになった.そしてウィスコンシン大学への遅い留学を機に放線菌の分子生物学へと方向転換した.
抗生物質生産にプラスミドが関与しているという説が古くから唱えられていたが,それが物理的に証明された例はなかった.その代表例がメチレノマイシン生産に関わるプラスミドSCP1であった.米国から帰国後,パルスフィールド電気泳動を用いてSCP1が350kbの巨大線状プラスミドであると明らかにすることができたが,当時最先端のこの装置を同じ研究室の酵母グループが使っていたことが幸いした.この発見が「放線菌は原核生物であるにもかかわらず線状染色体をもつ.」というCarton Chenらの発見につながった.広島大に移ってからは,放線菌の線状染色体が両末端の欠失結合によって環状化すること,線状プラスミドpSLA2-Lの大半が二次代謝遺伝子クラスターに占められていることなどを明らかにした.これらの結果から,細菌型環状染色体と線状プラスミドの組み換えによって放線菌型線状染色体が生まれ,線状プラスミドと線状染色体の組み換えによって二次代謝生産能が染色体末端に移ることが示唆された.このような成果を上げることができたのは,これまでに在籍した研究室において放線菌を対象として研究を続けてきたおかげである.
テニスが好きな人は分かるだろうが,切れのあるテニスをするフェデラーもねばり強くボールをつなぐナダルもともに立派なチャンピオンである.研究においても同じように最先端の課題に鋭く切り込んでいく人がいれば,流行を追わず地道に自分の研究を続ける人もいる.さまざまな研究スタイルがあっていいし,それらが全体として健全な研究の発展に貢献している.化学的基盤に基づいた生命現象の解明や地道な物取りは農芸化学の伝統である.長期間にわたる努力の継続なしに大村先生のノーベル賞受賞はなかったろう.
大学教員の半数以上が非常勤であるという新聞報道があった.大型プロジェクトに研究予算が集中し恒常的な研究費が激減している現在,流行を追わない研究を続けることはますます困難になっている.しかし,それなしに真に新しい発見を生むことはできない.このような我が国の研究環境が改善されることを願うとともに,常に時代を切り開いてきた若い研究者の力に期待したい.
経歴
10-
2017年 - 現在
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2017年 - 現在
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2010年 - 現在
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2010年 - 2011年
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1998年 - 2010年
-
1997年 - 1998年
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1990年 - 1997年
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1976年 - 1990年
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1984年 - 1986年
-
1974年 - 1976年
学歴
3-
1969年 - 1974年
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1966年 - 1969年
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1965年 - 1969年
論文
80-
BIOSCIENCE BIOTECHNOLOGY AND BIOCHEMISTRY 85(1) 115-125 2021年1月 査読有り
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Frontiers in microbiology 11 1089-1089 2020年 査読有り
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Scientific Reports 9(1) 10973-1-10973-11 2019年7月29日 査読有り
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Journal of Bioscience and Bioengineering 126(2) 145-152 2018年8月 査読有り
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CHEMBIOCHEM 16(15) 2237-2243 2015年10月12日 査読有り
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JOURNAL OF ANTIBIOTICS 68(5) 328-333 2015年5月 査読有り
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MOLECULAR MICROBIOLOGY 95(5) 846-858 2015年3月 査読有り
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FEMS MICROBIOLOGY LETTERS 347(2) 149-155 2013年10月 査読有り
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TOXICON 63 55-63 2013年3月 査読有り
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CHEMBIOCHEM 13(10) 1447-1457 2012年7月9日 査読有り
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BIOSCIENCE BIOTECHNOLOGY AND BIOCHEMISTRY 76(2) 353-357 2012年2月 査読有り
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TETRAHEDRON 67(29) 5199-5205 2011年7月 査読有り
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Bioscience, Biotechnology and Biochemistry 75 1147-1153 2011年6月 査読有り
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ARCHIVES OF MICROBIOLOGY 193(4) 299-306 2011年4月 査読有り
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PROCEEDINGS OF THE NATIONAL ACADEMY OF SCIENCES OF THE UNITED STATES OF AMERICA 108(7) 2717-2722 2011年2月 査読有り
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JOURNAL OF ANTIBIOTICS 64(1) 19-25 2011年1月
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PROCEEDINGS OF THE NATIONAL ACADEMY OF SCIENCES OF THE UNITED STATES OF AMERICA 107(5) 1983-1988 2010年2月 査読有り
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Bioscience, biotechnology, and biochemistry 74(4) 819-827 2010年 査読有り
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BIOSCIENCE BIOTECHNOLOGY AND BIOCHEMISTRY 73(12) 2712-2719 2009年12月 査読有り
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Bioscience Biotechnology and Biochemistry 73(1) 169-176 2009年 査読有り
MISC
24-
化学と生物 11 707-707 2018年
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第59回天然有機化合物討論会講演要旨集 59 657-662 2017年
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第58回天然有機化合物討論会講演要旨集 575-580 2016年 査読有り
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日本生物工学会大会講演要旨集 65 92-92 2013年
-
バイオサイエンスとインダストリー 66 504-508 2008年
-
化学と生物 45 619-626 2007年
-
天然有機化合物討論会講演要旨集 (48) 13-18 2006年9月15日
-
ABSTRACTS OF PAPERS OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY 229 U566-U566 2005年3月
-
第24回天然有機化合物討論会講演要旨集 (46) 485-490 2004年10月1日
-
日本農芸化学会誌 78(11) 1067-1069 2004年
-
日本農芸化学会誌 78(11) 1062-1085 2004年
-
応用微生物学研究 1 76-84 2003年
-
The Waksman Foundation of Japan Inc., Research Report (1985-1999) 123-129 2000年
-
蛋白質核酸酵素 43(11) 1453-1460 1998年
-
Japan-UK Joint Study on Molecular Genetics of Streptomyces 31-33 1997年
-
Actinomycetologica 8 86 1994年
-
Actinomycetologica 8(2) 87-96 1994年
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バイオサイエンスとインダストリー 53 763-767 1994年
-
日本農芸化学会誌 64(1) 50-53 1990年
-
J. Cellular Biochem. Suppl.14A 100-100 1990年
書籍等出版物
7-
広島大学工学部 1996年
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American Society for Microbiology, Washington, D.C. 1989年
-
Japan Scientific Societies Press, Tokyo 1988年
Works(作品等)
7-
1994年 - 2001年
-
1994年 - 1996年
-
1991年
共同研究・競争的資金等の研究課題
8-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究 2006年 - 2007年
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 2004年 - 2006年
-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 1997年 - 1998年
-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 一般研究(B) 1991年 - 1992年