MISC

1981年

Some characteristics of the Neogene mineralization in the Sanin Green Tuff region, Southwest Japan.

鉱山地質
  • 渡辺 洵
  • ,
  • 添田 晶

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165
開始ページ
1
終了ページ
11
記述言語
英語
掲載種別
DOI
10.11456/shigenchishitsu1951.31.1
出版者・発行元
The Society of Resource Geology

山陰のグリンタフ地域における新第三紀鉱化作用は, 中性~酸性の火山活動に密接に伴っており, 産状により主に黒鉱型鉱床と熱水性鉱脈型鉱床に分けられる. 本研究においては, 鳥取地域の3鉱床ならびに島根地域の15鉱床について, その鉱石鉱物脈石鉱物組合せの鏡下での観察, X線回折による変質鉱物の検討, 透明鉱物中に含まれる流体包有物の充填温度測定, ならびに黄鉄鉱と共存する閃亜鉛鉱中のFeS含有量の測定を行った. 当地域の新第三紀鉱化作用に共通にみられる特徴は, 一般に黄銅鉱―黄鉄鉱―石英―絹雲母―緑泥石組合せを主体とするものがほとんどであり, 磁硫鉄鉱や硫砒鉄鉱を全く伴わない点である. 流体包有物は, 室温で液相―気相の2相からなり, 加熱と共にすべて液相へ均一化する. 岩塩等の娘鉱物不透明固相および CO2 に富むものは含まれない. 充填温度測定から, これらの生成温度として200°~300℃の範囲が考えられる. 閃亜鉛鉱中の FeS 含有量は, 多くのものが3mol.%以下である. 以上の結果に基づいて, 山陰グリンタフ地域における新第三紀鉱化作用の生成環境をLogfo 2-pH図およびLobfo 2-T図を用いて考察した. 次に, これらと東北日本内帯の新第三紀鉱化作用との比較を行う. 鉱床胚胎層準についてみると, 山陰のものは女川階および船川階に多いとみられるのに対し, 東北日本内帯のものは女川階および西黒沢階に集まる. 鉱床タイプについては, 山陰では東北日本内帯とは異なり, 浅熱水性金銀鉱脈,同鉛亜鉛鉱脈, ゼノサーマル鉱脈, マンガン鉱床, および熱水交代性鉄鉱床が認められない. 生成環境についてみると, 山陰と東北日本内帯では, 生成温度は一部を除いて両者にそれほどの差はないものの, 前者が fo 2,fs 2 共に比較的せまい範囲におさまるのに対し, 後者はかなり広い範囲にわたる. 山陰グリンタフ地域の鉱床は, 鉱物組合せ等からみて, 鉱床タイプの如何に拘らず比較的高い酸化状態のもとで生成された. またfs 2についても, 閃亜鉛鉱中の鉄の低含有量や, 磁硫鉄鉱・硫砒鉄鉱の欠如することから比較的高いfs 2環境にあったものと考えることができる. 山陰および東北日本内帯におけるこのような差異を生じた理由については今後の研究にまちたい.

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.11456/shigenchishitsu1951.31.1
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/10019293480
URL
https://jlc.jst.go.jp/DN/JALC/00176434746?from=CiNii
ID情報
  • DOI : 10.11456/shigenchishitsu1951.31.1
  • ISSN : 0026-5209
  • CiNii Articles ID : 10019293480

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