1994年4月 - 1997年3月
歯周病原性細菌のプロテアーゼに対するモノクロナール抗体を利用した迅速診断法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
Porphyromonas gingivalisの産生するトリプシン様酵素の1つであるPase-Cに対するモノクローナル抗体(mAb-PC)を作製した。BApNA及びカゼインを基質としたPase-Cの酵素活性に対する中和試験を行った結果、mAb-PCは活性中心から離れた部分でPase-Cと結合し、Pase-Cの酵素活性を阻害することが分かった。本抗体は、P.gingivalisの産生する他のトリプシン様酵素(Pase-B,Pase-S)とは反応しないことがウェスタンブロッティングの結果から明らかとなった。また、ドットブロッティングにより他の歯周病原性細菌との反応性を調べた結果、Bacteroides forsythusやTreponema denticolaの様なトリプシン様酵素産生菌とも反応しないことが確認できた。
歯周炎患者よりペ-パ-ポイントを用いて採取した歯肉溝滲出液中のPase-C、P.gingivalis量をmAb-PC及びP.gingivalisに対するポリクローナル抗体を用いたELISA法により調べた。その結果、50検体のPase-C検出量とP.gingivalis検出量の間に有意な相関は認められなかった。しかし、プロービング時に出血(BOP)を認めなかったサンプル(-)だけで解析したところ、両者の間に有意な相関が認められた。そこで、BOPの程度でサンプルを群分けし、各々のPase-C検出量、P.gingivalis菌量を調べた。その結果、Pase-C量はBOPの程度が進むに従い増加する傾向が認められたが、P.gingivalisの菌量には群間にそのような傾向を認めなかった。BOPはある程度炎症の活動度を反映するものと考えられることから、mAb-PCを用いて歯肉溝滲出液中のPase-C量を測定する方法が、歯周炎の診断・予後の予測に利用できる可能性が示唆された。
歯周炎患者よりペ-パ-ポイントを用いて採取した歯肉溝滲出液中のPase-C、P.gingivalis量をmAb-PC及びP.gingivalisに対するポリクローナル抗体を用いたELISA法により調べた。その結果、50検体のPase-C検出量とP.gingivalis検出量の間に有意な相関は認められなかった。しかし、プロービング時に出血(BOP)を認めなかったサンプル(-)だけで解析したところ、両者の間に有意な相関が認められた。そこで、BOPの程度でサンプルを群分けし、各々のPase-C検出量、P.gingivalis菌量を調べた。その結果、Pase-C量はBOPの程度が進むに従い増加する傾向が認められたが、P.gingivalisの菌量には群間にそのような傾向を認めなかった。BOPはある程度炎症の活動度を反映するものと考えられることから、mAb-PCを用いて歯肉溝滲出液中のPase-C量を測定する方法が、歯周炎の診断・予後の予測に利用できる可能性が示唆された。
- リンク情報
- ID情報
-
- 課題番号 : 06557113
- 体系的課題番号 : JP06557113