1995年4月 - 1997年3月
歯周病原菌による歯周組織破壊のメカニズム
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
歯周病原菌の産生する病原因子の中で種々のプロテアーゼは直接歯周組織を破壊するものとして注目されている。我々はPorphyromonas gingivalisの病原因子について研究を進めてきたが、本研究で本菌の産生するプロテアーゼを中心とした歯周組織破壊のメカニズムの解明を試みた。
先ず、P.gingivalis 381株の培養液の上清と外膜小胞から可溶性のトリプシン様酵素(Pase-S)と膜依存性の2種類のトリプシン様酵素(Pase-B,Pase-C)を分離精製した。Pase-Sに対するポリクローナル抗体とPase-Cに対するモノクロナール抗体とを調製し免疫学的性質を調べたところ、Pase-Sに対するポリクローナル抗体はPase-Bとよく反応するがPase-Cとは反応せず、一方、Pase-Cに対するモノクロナール抗体はPase-Cとのみ特異的に反応した。また、Pase-Cに対するモノクロナール抗体は他の有力な歯周病原菌と考えられ、かつPase-Cと同様のトリプシン様酵素を産生するBacteroies forsythusやTreponema denticolaとは反応しないこともわかった。歯周組織中に最も多く存在するタイプIコラーゲンは三つの酵素のうちPase-Cにのみ感受性を示すが、タイプIVコラーゲンはすべての酵素によって分解された。また、基質分解特性からPase-B,Pase-Sはトリプシン様というよりむしろクロストリパインに類似していることがわかった。
臨床分離株を含む8株のP.gingivalisの培養液から外膜小胞を調製し、これらについて歯肉線維芽細胞(HGF)に対する凝集活性と3種のアルギニン頬側面代謝関連酵素(BApNA分解活性、カルボキシペプチダーゼ、ならびにアルギニンデイミナーゼ活性)を説明変数とし、HGF凝集活性を従属変数として統計学的処理を行いこれらの関連性について推測したところ、細胞凝集活性と最も強い関係が推測できるのはBApNA分解酵素(Pase-Cを含む)であることがわかった。以上の結果は、P.gingivalisの産生するPase-Cが本菌の宿生への定着から組織破壊に至るまで重要な役割を果たしていることが示唆された。
先ず、P.gingivalis 381株の培養液の上清と外膜小胞から可溶性のトリプシン様酵素(Pase-S)と膜依存性の2種類のトリプシン様酵素(Pase-B,Pase-C)を分離精製した。Pase-Sに対するポリクローナル抗体とPase-Cに対するモノクロナール抗体とを調製し免疫学的性質を調べたところ、Pase-Sに対するポリクローナル抗体はPase-Bとよく反応するがPase-Cとは反応せず、一方、Pase-Cに対するモノクロナール抗体はPase-Cとのみ特異的に反応した。また、Pase-Cに対するモノクロナール抗体は他の有力な歯周病原菌と考えられ、かつPase-Cと同様のトリプシン様酵素を産生するBacteroies forsythusやTreponema denticolaとは反応しないこともわかった。歯周組織中に最も多く存在するタイプIコラーゲンは三つの酵素のうちPase-Cにのみ感受性を示すが、タイプIVコラーゲンはすべての酵素によって分解された。また、基質分解特性からPase-B,Pase-Sはトリプシン様というよりむしろクロストリパインに類似していることがわかった。
臨床分離株を含む8株のP.gingivalisの培養液から外膜小胞を調製し、これらについて歯肉線維芽細胞(HGF)に対する凝集活性と3種のアルギニン頬側面代謝関連酵素(BApNA分解活性、カルボキシペプチダーゼ、ならびにアルギニンデイミナーゼ活性)を説明変数とし、HGF凝集活性を従属変数として統計学的処理を行いこれらの関連性について推測したところ、細胞凝集活性と最も強い関係が推測できるのはBApNA分解酵素(Pase-Cを含む)であることがわかった。以上の結果は、P.gingivalisの産生するPase-Cが本菌の宿生への定着から組織破壊に至るまで重要な役割を果たしていることが示唆された。
- リンク情報
- ID情報
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- 課題番号 : 07457510
- 体系的課題番号 : JP07457510