共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年7月 - 2022年3月

人工知能(AI)の利用がもたらす生命倫理問題―全体像把握と今後の研究方向提示

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
20K20648
体系的課題番号
JP20K20648
配分額
(総額)
6,500,000円
(直接経費)
5,000,000円
(間接経費)
1,500,000円

前年度と同様、コロナ禍による内外の行動制限や所属機関での業務態様の変化等により、研究の進捗が遅れたままである。現地調査やインタビューは極めて限定的で、海外調査は不可能であった。班会議はオンラインで実施した。
本年度も主として文献の調査・考察及びオンライン班会議、意見聴取・交換を行った。これらを通じて、医療関連AI技術に関する倫理問題の検討状況について、状況把握を試み、研究班内で情報共有し、検討すべき課題について検討し、以下の成果を得た。
(1)AI自体がまだ発展途上であることから、AIの医療現場での利活用もまだ限定的である。もっとも利用されている分野は診断であるが、この分野でのAIの倫理的課題については、①責任(Liability)の所在:a)AIによる診断の正確さ、b)AIが診断する根拠となるデータの正確さ、c)AIが自己学習するに際してのデータの適切さ、d)個人情報保護の過誤、e)本来の目的以外にデータを用いてAIが行う判断から生じる不利益と損害、および②個人情報保護(Privacy):a)AIが診断用いる患者等のデータは機微な個人情報、b)AIが用いるデータの匿名性の確保、c)予期しない形でのAIによる個人情報の活用と診断における個人情報保護、があげられる。この2つの問題は同時にAIの利用における透明性(Transparency)と判断の予期可能性(Expectancy)の問題につながる。
(2)他方で、AIは、診断にとどまらず、医療機器としての利用およびやケアの場でのパラメディカルな利用があり、特に前者には、患者の治療を機械であるAIに委ねることの倫理的な意義、即ち人間である患者と治療者であるAIとの尊厳(Dignity)の問題を含む微妙な関係が浮かび上がった。
以上の成果はいまだ試論のレベルにあり、論文化は難しく、次年度に学会発表等により問題提起を行う予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K20648
ID情報
  • 課題番号 : 20K20648
  • 体系的課題番号 : JP20K20648

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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